「観光維新―地旅夜明け前」テーマに座談会―国内観光活性化フォーラムinこうち開催(2) 着地型は「三方よし」で

―社会環境の変化の中で旅行会社が苦戦するなか、高知県は助成金の充実など旅行会社への理解が深い。

 山中 そうですね、尾﨑知事が観光振興に力を入れていて、着地型観光への理解も深い。しかし、その着地型がなかなか浸透できないのが現状です。

―旅館を経営しながら独自の着地型ツアーを造成しておられる藤本さん、その点いかがでしょうか。

 藤本 桂浜、龍馬像、龍河洞以外に高知には行くところがないのか、といったお言葉をリピーターのお客様からいただいたのがツアーを始めたきっかけです。当初はコンシェルジェ機能だけで第三種登録だけでした。しかし隣接市町村でしか取り扱えないので、第2種を取り高知県全域の商品造りを始めました。今では年間2500人から3千人の利用があるようになりました。

 とはいっても売れると思ったものが売れなかったり、売れないと思ったものが売れたりと苦戦するなかで思うのは、我々60代の人間が考える商品と実際のお客さんがいいと思う商品とは乖離しているということです。

 女性グループに人気があるのはバームクーヘンを作るのに1時間半もかけて山の中に入っていっくツアーで、団体で最も売れているのが鰹節の製作工場見学です。

 ツアー造成をしていて一番大事なのは三方よし。お客さんに喜んでもらう、商品を造って一定の収入がある、受け手が喜んでいる商品であるかどうかの3つが揃わないと継続性がある商品にはなりません。

 地旅というのは造っていて思うのですが、なかなかむずかしい。我々宿泊施設は地域に根を張っていますので、地域情報は入ってきやすく商品を造りやすい環境にあります。

 旅行会社はネットワークをお持ちなので、地域の旅行会社はそれを他府県の旅行会社に情報を発信するなかで、利益の出し方さえ考えることができれば、地域の活性化につながるのではないでしょうか。受入の協力会をうまく活用することをお勧めしたいですね。

 中間 鹿児島県旅行業協会でも12年間、着地型旅行を造成してきました。年間2千―3千人を扱っていますが、三方よしに加え行政とも連携しながら進めています。

 地旅は儲からないと言われますが、なんとしても売る、という強い意思がないと売れませんし大きく変わるお客様の価値観についていかないと取り残されてしまいます。よくプロが造る、と言いますが、その言葉自体が古臭くなっています。

 近藤 逆にプロの感覚が入ると商品が限定され、料金や行程が組めるかどうかなどという発想になっていくので、プロの考えが入らない商品の方がおもしろいという話をよく聞くようになりました。

 私の地元の岡山県旅行業協会でも倉敷市の教育委員会とタイアップし、小中学生のお国自慢コンテストをやりました。子どもたちにお国自慢を探し出してもらうという取り組みを行政とタイアップして行い、旅行会社の存在を知ってもらっています。こういったアピールをするなど旅行会社の存在価値を訴えていかなければならない時代に入っていることを我々は認識すべきでしょうね。


情報提供:トラベルニュース社