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【仕事を変える】ビュート社長 村田洋一氏-転職4回、夢に向け独立

「船会社」設立へ、計画順調
すべての転職に意味、業界外で貴重な気付きも

 業界環境の変化や事業多角化によって旅行事業から畑違いの部門へ異動することも珍しくなくなり、あるいは外資系や訪日スタートアップなど新たな活躍の場も広がる昨今。職を変えることとなった人々がどのようなことを思い、旅行業をどう見るのか。また、そもそも旅行会社での経験はどれほどの客観的価値を持つのか。新企画「仕事を変える」の第2弾では、昨年1月にクルーズ専門旅行会社「ビュート」を立ち上げた村田洋一氏に話を聞いた。(第1弾

御社の事業内容について教えてください

村田洋一氏(以下、敬称略) 日本発着と海外発着の2つを柱に、クルーズ専門の個人旅行を取り扱っている。2018年1月に創業し、初年度は291人、今年度は2019年7月時点で1070人を超えるお客様に利用いただいている。創業当初の予想を遥かに上回る状況だ。

業績が好調である理由は何だとお考えですか

村田 ひとつは、クルーズ旅行の利用者が全体的に増加傾向にあること。もうひとつは、増加しているクルーズ人口に対してクルーズの専門知識を持つ人材の数が少ないこと。お客様からも、「ほかの旅行会社でクルーズについて聞いたけれどもよく分からない。だから“クルーズ専門”と謳っているそちらに電話した」というご連絡をよく頂戴する。

 例えば、「船内では何が無料で何が有料なのか」、「港の住所が知りたい」、「港から最寄り駅までの行き方を教えてほしい」といった質問に対して、会社によっては回答まで相当な時間がかかることもあるらしい。そうした疑問などに素早くお答えしているうちに、当社に乗り換えてくださる方も多い。「クルーズの知識」は大きな武器となっている。

「クルーズ専門」であることが強みとなっているわけですね。今の状況は計画通りでしょうか

村田 実は2019年5月に、47都道府県のお客様から申し込みいただくことを達成できた。オンラインも活用することで、日本全国に当社のお客様がいる状態。「いつかこうなったら良い」と考えていた状況に予想よりも早く到達できた。この状況は当初の予想を上回っている。

なぜ「クルーズ専門の旅行会社」を立ち上げようと考えたのですか

村田 2002年、21歳の時にカナダ・バンクーバーの旅行専門学校へ留学したが、当時はバージン・アトランティック航空の創業者リチャード・ブランソンの自伝を読んで航空会社を作ろうと思っていた。しかし、留学中にクルーズに乗船する機会に恵まれ、日本では高嶺の花だと考えていたクルーズに日本円にして3万円程度で乗れることを知り、「こんなに楽しいクルーズ旅行を是非日本で広めたい」と考えて船会社を作ることを決めた。

留学中に飛行機から船へ方向転換したのですね。その後は、どのようなキャリアを積まれたのでしょうか

村田 帰国後の2004年にJTBへ就職したものの、当時のクルーズはまだ高級路線。日本船も外国船も50万円以上の商品が多く、大衆的な商材とは言えなかった。

 そうした状況だったのでクルーズに取り組むのは早いと考え、まずは中小の旅行会社の経営を勉強したいと思い、2005年にティ・アイ・コンソーシア トラスト旅行事業部(※当時は株式会社トラスト)へ転職した。