激戦の日韓路線で独立独歩、成長めざすイースター航空の戦略

日本各地への路線網と独自サービスで勝負
東京にも営業拠点を開設、認知度向上へ

 2000年代半ばに続々と設立された、韓国系LCCの第1世代の1つであるイースター航空(ZE)。財閥や大手航空会社などの系列ではない、独立系のLCCとしてその名を知られているが、現在の日本市場における取り組みや、今後の展望はどのようなものなのか。東京に置く日本営業支店で日本地域長・支店長を務める朴慶浩(パク・キョンホ)氏に、同社の強みや課題などについて話を聞いた。

-まずはZEの紹介をお願いします

朴慶浩氏(以下敬称略) ZEは07年に、他の航空会社の子会社ではない独立したLCCとしてソウルで設立され、09年にソウル(金浦)/済州線の運航を開始した。その後は済州/清州、釜山、群山線を開設しており、このうち群山線については、ZEと大韓航空(KE)だけが運航している。

 09年にはソウル(仁川)/コタキナバル線に就航して、国際線にも進出した。日本路線は11年に仁川/新千歳線を開設したのが初めてで、現在は仁川、釜山、清州から新千歳、茨城、成田、関空、福岡、宮崎、鹿児島、那覇に12路線を運航している。主力の成田/仁川線は1日3便を運航中で、日本路線全体では1日に13便または14便を運航している。

 従業員数は約1500名で、保有機材数はB737-800型機を中心に全部で23機に上る。日本では東京と大阪に営業拠点があり、乗り入れている各空港にも担当者を置いている。以前は大阪にしか営業拠点を置いていなかったが、日本における事業を拡大していく上では営業体制の強化が欠かせないと判断して、昨年4月に東京にも営業拠点を開設した。日本の東西で担当を分けることで、よりきめ細かい営業活動に取り組んでいる。

-具体的に、営業活動はどのようにして強化しているのですか

 他のLCCと同様に、ZEも自社サイトでの直販やOTA経由、リアルエージェント経由で販売しているが、チャネル別のシェアは直販が30%、OTAが30%、リアルエージェントが40%で、リアルエージェントの比率が比較的大きいのが特徴だ。つまり「旅行会社の力をどこまで借りることができるか」ということが、ZEにとってかなりの重みを持つ。

 現在はJTB、エイチ・アイ・エス(HIS)、阪急交通社といった全国規模の大手旅行会社や、就航地の地場の有力旅行会社など、多くの旅行会社と取引があるが、今後はこれらの会社との関係をより強化し、それぞれが持つ“プロモーション力”を借りることが絶対に必要だ。ZEも旅行会社に対しては、積極的に団体用座席やパッケージツアー用のブロックを提供しており、ZE路線の商品化に積極的に協力している。