トップインタビュー:アップルワールド新社長の須崎氏、取締役の唐津氏

買収後もホールセールに注力
ホテル在庫とニーズのマッチングに注力

(左から)須崎氏、唐津氏  求人情報や不動産情報の一括検索サイトなどを運営するじげんは2月9日付で、アップルワールド・ホールディングス(APWHD)の発行済株式の100%を取得し、連結子会社化した。アップルワールド(APW)の主力事業は、BtoBサイト「アップルワールド」での旅行会社へのホテルのホールセール。じげんは、BtoCの国内旅行比較サイト「旅行EX」も運営しているが、旅行業界での本格的な旅行ビジネスを展開するのは初めてとなる。買収後の事業展開について、じげん執行役員でAPWHDとAPWの代表取締役社長に就任した須崎和延氏と、APW取締役営業部部長の唐津紳一氏に聞いた。


-まずは、じげんの事業内容とその強みをお聞かせください

須崎和延氏(以下敬称略)  「メディアプラットフォーム事業」として、「お客様の生活機会の最大化」をはかるという理念を掲げている。転職や引っ越しなど、人生におけるさまざまなライフイベントがあるなかで、多様な情報をメディアから集め、整理整頓して最適化し、わかりやすく提供することでお客様のニーズと企業のサービスや商品をマッチングしている。現在は「人材」「不動産」「生活」の3つの領域で事業を展開しており、今回買収したAPWの旅行事業は、自動車などとともに「生活」に位置づけている。じげんの最大の強みは「マッチングテクノロジー」で、BtoBtoC事業のアグリゲーターとして、提携サイトに多く送客できるところが強みだ。


-旅行事業への進出を決めた背景を教えてください

須崎 現在展開している不動産や求人などのサービスは、お客様が利用する機会は数年に1度。1人のお客様と次に出会うまでの時間が長いため、年に何回も使ってもらえるようなサービスを提供したいと考えていた。そのなかで、今回APWとのご縁をいただいた。

ただし、我々は「旅行業に参入した」とは思っていない。あくまでも「旅行関連のIT企業」であり、旅行会社のコンペティターになったわけではない。

唐津紳一氏(以下敬称略)  APWは創業27年になるが、自社でシステムを構築し、旅行会社というよりも「システム会社」としてオンラインでホテルを販売してきた。じげんは旅行業界の企業ではないもののオンラインに強みがあり、我々が培ってきた事業や方向性とマッチすると判断した。

須崎 じげんが上場からこれまでにM&Aのために実施してきたソーシング(企業調査選定)数は約540件で、そのうち企業にコンタクトしてDD(買収監査)をおこなったのは約120件。実際にM&Aを実施した企業はAPWHDが10件目となる。

 買収後は、APWの社員はそのまま残り、必要に応じてじげんから投入する。「買収後も一緒に成長していきましょう」というスタンスだ。