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スペシャリスト・インタビュー:KNTマルチネットセンター 鈴木千里さん

資格や旅行経験を活かし、ネットでもプロの接客を

 入社から9年間、海外旅行創成期の頃に同社有楽町支店で海外旅行の窓口を担当。同支店がパスポートセンターのある交通会館に入店しているため、初めてパスポートを取得してパッケージツアーを利用したお客様が多く、そうした方々に育てていただいたという鈴木さん。主に、アジア・オセアニア方面を担当し、その後9年間は団体旅行支店でより広範囲のデスティネーションを扱ったといいます。今のマルチネットセンターに異動したのは2005年。同社のベテラン社員であり、自らも旅行のエキスパートである鈴木さんにお話をうかがいました。


近畿日本ツーリスト
マルチネットセンター 担当課長 鈴木千里さん
2008年度(第4回)デスティネーション・スペシャリスト スペイン・ポルトガル認定



Q.御社のマルチネットセンターについて教えてください

 Eビジネス事業本部カンパニーの中にあるセクションで、10年ほど前にスタートしました。ここ数年でじわじわと拡大し、今では主要セクションの1つになっています。海外パッケージツアーの7割をネット販売しており、これに加えパンフレット掲載が間にあわない間際出発の商品なども扱っています。

 接客はすべてネットなので、私のように対面の接客経験が長い者には、戸惑う面もありますね。メールの文は書き方によって小さな誤解を生むこともありますが、電話1本で解決してしまうことも少なくありません。また、入社してすぐマルチネットセンターに配属された新入社員などは、初めから接客方法がネットなので、こうした後輩をどう育成していくかという課題もあります。


Q.接客の仕事を通して思うところはありますか

 この仕事を長くしていると、お客様の節目節目に立ち会うことがよくあります。入社してすぐのご出張、ご結婚やハネムーン、家族旅行というように、そのお客様の歴史に立ち会うことができるのは、旅行会社の社員として仕事冥利に尽きるといえるかもしれません。接客の仕事は、旅をするならまたこの人に頼もうと思っていただけることが大切で、有楽町支店時代から現在の部署に異動した今でも指名してくださるお客様もいらっしゃいます。ネットは顔の見えない接客ですが、今後もリピーターとなっていただけるような対応を心がけていきたいと思っています。


Q.スペインのDSを取得されたのはなぜですか

 そもそも有楽町支店にいた時に、カウンター接客はお客様と旅の話ができなければいけない、と思いました。それで自分でも旅行をするようになったところがあります。団体旅行支店にいた時は、営業を通して顧客であるオーガナイザーに情報を提供するにはどうしたらいいか、ということを考えるようになり、まずは社内で行なっているトラベルアドバイザーの資格を取得するようになりました。政府観光局の資料などを使って通信教育のような形で取得していくものです。

 マルチネットセンターに来てから痛感するのは、旅の情報は今、インターネットなどで十分に得ることができるということです。ただその量が膨大で、選択が難しかったり、困っている方も多いのではないかと思います。そうした方々に対して旅行会社の存在意義を示すためにも、DSを取得してみようと思いました。DS取得の条件として、5年以内に行ったことがある国とあったので、3年前に行ったスペインに挑戦したのです。


Q.DSの資格はどのように活かしていますか

 お客様に対してDSをアピールしてはいませんが、情報量の部分で半歩リードといったところでしょうか。知らない国について取り組むことができるという意味では、意義があると思います。ただ、取得後に積極的にその国の情報を収集しているかといえばそうでもないので、政府観光局から最新情報が送られてきたり、他の会社の方々と情報を共有するといった刺激を受けるといいですよね。

 例えば、先日ベトナムへ研修旅行に行く機会があったのですが、そこでなぜかアンコールワットの話になりました。行ったことがある方の話によると、あれだけ有名で何度も写真を見ていても、実物は思っている以上に大きいよといわれ、俄然興味をもちました。これをきっかけに、近々本当にアンコールワットを見に行くことにしたんです。同時に、今度はインドシナのDSを取ろうと思いたち、ベトナムの研修旅行をきっかけに思わぬデスティネーションに興味をもつことができました。


Q.鉄道の旅がお好きだと伺いました

 食器が好きなのでヨーロッパへ行くことが多いですね。陸続きのヨーロッパでは自然と鉄道を利用する機会が多く、いつの間にかヨーロッパを鉄道で制覇しようと思うようになりました。北欧3ヶ国、トルコ、ギリシャ以外のヨーロッパは、通過しただけの国も含めてだいたい行ったと思います。

 鉄道の旅は、列車に乗っている時間も移動時間ではないと思っています。車窓からの風景はもちろんですが、車内で乗り合わせた方々とのコミュニケーションもいい思い出になります。また、国によって鉄道の雰囲気が変わるのも面白いですね。例えば、イタリアの鉄道は車内がにぎやかで、スケジュールもおおらかですが、スイスの車内はきれいで、時間にも正確というふうに。鉄道に乗っているだけで、その国の個性が分かるところが、鉄道の旅の面白さでもあります。


Q.おすすめの鉄道旅行はありますか

 鉄道の旅というと、時間や旅費に余裕がなければいけないと思いがちですが、パリへ7日間の旅行をした時、1泊2日でパリからスイスに入り、ユングフラウヨッホへ登ってグリンデルワルドに泊まり、翌日ベルンやジュネーブなどを周って帰ってきたことがあります。陸続きのヨーロッパでは、特に夜が長い夏などは、1泊でも十分遠出ができます。モノデスのツアーに参加して、鉄道カセットプランを計画してみてはいかがでしょう。


ありがとうございました



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