スペシャリスト・インタビュー:ソニー・ヒューマンキャピタル 可世木亮さん

  • 2008年6月17日(火)
「私には認定を得ることより、受講することが重要」
旅行を好きという気持ちを大切にしたい


今回、ご登場いただいたのは、ソニーグループのインハウスであるソニー・ヒューマンキャピタル(ソニートラベルサービス)にお勤めの可世木さん。プライベートではオペラなどのクラシック音楽が大好きで、学生時代には3ヶ月、ヨーロッパ音楽旅行を敢行したこともあるそうです。現在の業務では、観光面になかなか触れないため、DSに挑戦することで知識のメンテナンスをしようと思ったといいます。「旅行業界に入った人は現在の業務が何であれ、旅行が好きなはず。その気持ちを大切にして欲しい」と話す可世木さんに、お話をうかがいました。

ソニー・ヒューマンキャピタル株式会社
  トラベルサービス部 海外手配グループ、法人担当
  チームマネジャー 可世木亮さん
  2006年度(第3回) デスティネーション・スペシャリスト ドイツ認定


Q.現在はどのような業務をしていらっしゃいますか

 弊社はソニーグループの業務渡航をメインとするインハウスですが、グループ外のお客様も取り扱っており、私のセクションが担当しています。他社との競合の中で自社を選んでもらうためさまざまな工夫を考え、提案が一蹴されることもありますが、「それはいいアイディアだ」と言われるとうれしいし、やりがいがあります。

 例えば、日本からドイツに行く場合、フランクフルト乗換えを指定してくる方がいます。しかし、フランクフルトは全日空(NH)とルフトハンザ・ドイツ航空(LH)が第1、日本航空(JL)は第2にターミナルが分かれていて、ターミナル間の移動がある乗り継ぎは非常に面倒です。そんなときは、JLの利用を希望する方に対しては、乗継ぎの便利なパリ経由を提案することもあります。さらにその後、例えば5月から6月の時期なら、「ドイツは白アスパラガス(シュパーゲル)が旬で美味しいですよ」と加えると、無味乾燥な出張手配が人間味あるものに変わります。その方が帰国後、「可世木さんに言われて食べてみたら美味しかったよ」って言ってくれたらしめたもの。経験と知識を総動員させてうまくいったときが、私にとってこの仕事の最も楽しい時間です。


Q.DSを取得した理由と感想を教えてください
 
 動機はいろいろありますが、知識の棚卸をしたかったということです。もともと旅行が好きで、学生時代には初の海外旅行で3ヶ月間、ヨーロッパを鉄道で移動しながらオペラやコンサートなど音楽旅行を楽しみました。以前は音楽ツアーに強い旅行会社に入社し、企画から添乗まで携わった経験もあります。ただ、現在の会社に入社して15年ほど経ち、業務渡航ではなかなか観光面の情報に触れる機会が少ないので、これまでの知識をリフレッシュしたいと思ったのです。ですから私にとっては、DSで学ぶ内容よりも、学ぶ環境を持ち、資格試験を受講する準備の段階が貴重でした。


Q.ドイツに係わる業務で印象に残っていることはありますか

 いろいろありますが、例えばオペラツアーの添乗でハンブルクに行ったことを覚えています。その日はホテルで夕食の予定でしたが、チェックイン後に食事の予約が入っていないことが判明。その場でオーダーしたのですが、通常のメニューから選ばなくてはなりません。唯一、若干の予算オーバーで収まるのが、「シュパーゲル(白アスパラガス)」をメインとしたメニュー。当時はサラダに乗っている缶詰のものしか知らなかったのですが、レストランの支配人の「今の時期、ドイツでシュパーゲルを出すのは、最高のもてなしだよ」と勧めを受け、半信半疑で注文してみました。

 料理が運ばれてくると、びっくり。大きな鍋でゆでられ、テーブルの脇で取り分けるのですが、見たこともないほど立派なアスパラで、しかも山盛りです。熱々の状態で何種類かのソースで食べるのですが、その甘さと香り、食感、いずれも今まで食べていたアスパラとは全く別物で、食べ物では今までで最も感動したできごとです。帰国後のアンケートにも「食事が良かった。特にハンブルクのアスパラは忘れられない」との回答が多く、ホッとしました。手配漏れ、コストの制限という悪条件の中で用意した食事が特大ホームランだったのです。


Q.業務渡航のお仕事ではいかがですか

 弊社の業務では、コンベンション手配が印象に残っています。参加人数が多く、私が担当していた頃は1度に450名も取り扱ったことがあります。出張ベースのため1人1人スケジュールが異なるうえに直前の変更が多く、ホテルやフライト手配のほかミーティングルームや、VIP送迎リムジンのスケジューリング、現地コーディネーターとの深夜の調整などなど、本当に大変なんです。ただ、お客様には「できません」という回答はしないのがインハウスの存在価値。コンベンション手配には業務渡航手配のすべてが凝縮されているんです。

 ですから、弊社ではある程度仕事に慣れてきた若手の“登竜門”と位置づけています。ただ、比較的短いサイクルで担当が替わり、さらにそれぞれが自分なりのやり方をしていたため、ノウハウがきちんと蓄積されていなかったんです。そこで、私が担当している間にウェブと連携したデータベースを構築して、集中管理できるようにしました。もともと凝り性で、「どうせやるなら人と違うことをしたい」という性格なのですが、「自分が担当した結果、こんなことが出来るようになった、こんなに楽になった」というものを残せて嬉しかったです。


Q.先般、米系航空会社がコミッションカットやゼロを発表し、業務渡航では今後、影響がありそうですね

 今回のコミッションカットは、私がこの業界で経験した“変化”の中では、最も大きなものの1つだと思っています。これまで業務渡航手配の主な収益源は発券コミッションでしたが、今後はこれに頼ることが出来なくなります。収益構造が全く変わるわけですから、過去のコミッションカットとインパクトの大きさは比較になりません。

 今後は取扱手数料の収受が業界としての流れのようですが、コミッションがカットになったからと言って、その矛先をお客様に向けただけで手数料を払っていただけるほどお客様は甘くありません。お客様と旅行会社の関係も変わってくるでしょう。お客様のために航空会社やホテルなどのベンダーから、いかに良いサービスを引き出せるか、どれだけの付加価値を提供できるか、それが勝負です。難しい挑戦ですが、私は目の前の壁が高いほどチャレンジ精神がくすぐられるタイプですからね。もちろん、既に胸のうちにはいくつかアイディアがありますよ。


Q.業界に思うこと、さらに後輩に伝えていきたいことがあったら、教えてください

 業務渡航の仕事は、一般的な旅行業界のイメージとのギャップが大きくて、はじめのうちは戸惑う人が多いと思います。私も「これが自分が旅行会社でやりたかったことか?」と悩んだこともありました。でも、自分が“やりたい”ではなく、“何が出来るか?”と考えられれば面白くなります。とは言っても、旅行業界に入ったからには、旅行が好きなはず。その気持ちはいつまでも持ち続けて欲しいです。 「仕事ではアジアの手配をやっているけれど、本当はヨーロッパが好きなんだ!」という人には、徹底的にヨーロッパにこだわりを持って欲しい。興味のあることを、より深く知ろうとすることは、その人の奥行きを広げてくれます。業務のためではなく、自分のステップアップのため、私は周りのスタッフにDSへの挑戦を勧めています。

 あと、私たちの業務は、オフィスにいる間だけがすべてではないと思うんです。自分の趣味はもちろん、家でテレビを見たり、インターネットを覗いたり、本を読んだり、友達と話したり、そんなことから得た知識とか情報が、ひょっこり活きるときがくる。DSは観光的なイメージが強い資格ですが、そこで得た知識を業務渡航手配に活かせるかどうかは自分次第ですね。


ありがとうございました


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