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スペシャリスト・インタビュー 株式会社ワールド航空サービス 牧原淳一郎さん

好奇心を持って自ら知識を広げていく、その楽しさが仕事の原動力

各種のツアー・プランニング・コンテストの受賞暦を誇るワールド航空サービス。同社のツアーが注目を集め、メジャーとなるデスティネーションも少なくありません。例えば現在、増えつつあるマカオ滞在型商品も、同社がトレンドを作ったといえるでしょう。同社で中国・アジア方面を担当し、「観光スポットだけでなく、その途中で出会う街の風景、雰囲気も肌で感じ、それぞれが何かを発見できる場所」と、マカオの魅力を語る牧原さんに、お話を伺いました。

株式会社ワールド航空サービス 東京支店 営業部 チーフ 牧原淳一郎さん
 2006年度(第3回)デスティネーション・スペシャリスト 香港・マカオ認定
 2007年度(第4回)デスティネーション・スペシャリスト 中国 受講


Q.旅行業界での経歴を教えてください

社会人となってから9年間、大手総合旅行会社で法人営業を担当していましたが、企画力と行き届いたサービスを提供する弊社に魅力を感じ、2003年に転職しました。入社当初からアジア・中国方面を希望し、企画から営業、旅行説明会の運営、添乗まで、手配以外のあらゆる業務を行っています。ですから今年で14年目になりました。

Q.御社のマカオ商品の特徴は

マカオが世界遺産に登録された2005年以降は、他社も滞在型の商品を販売するようになりましたが、香港のオプショナルツアーやカジノ目的ではなく、純粋に歴史と文化の街を訪ねるツアーを企画したのは、弊社が初めてだと思います。2003年に「マカオを深く歩く」という4泊5日の滞在商品を発売しました。社長をはじめ、社員が視察を重ねて企画したもので、マカオが本来持つ魅力を打ち出したツアーであると自信を持ってお客様にお勧めしています。

マカオのおもな観光地は半島部分に集中していますが、弊社では南のタイパ島やコロアン島にも足を伸ばします。ここにはひなびた素朴な漁村など、昔のマカオの風景が残っているのです。特にコロアン島は自然が豊かで、近代的な高層ビルが一切ありません。のどかな場所を散策しながら、島内にある名店「アンドリュー」でエッグタルトを買って食べ歩きすれば、また違った風情のマカオを楽しめると思います。

ただ、各社のマカオ滞在商品が増えてきたので、差別化が必要になってくると思います。06年の冬にはマカオだけでなく、今年世界遺産に登録された中国の開平と組み合わせた商品を発売するなど、新たな取り組みを行いました。

Q.牧原さんはマカオの魅力と特異性をどう感じていますか

マカオは狭いので、弊社のツアーはタイトル通り、歩いて観光するのがほとんどです。ポルトガル風の街並みと中国の寺院や庭園のある街を歩き、観光スポットへ行く途中の路地の露店や広場で太極拳をする市民の姿など、日常生活の一コマを垣間見て自分なりのマカオの風景を発見できるのも魅力の一つではないでしょうか。

ただ、マカオは年々変化しつつあり、特に今年以降は大きく変わっていくと認識しています。06年のカジノ収入がラスベガスを抜いたという報道もありましたし、観光プロジェクト「コタイ・プロジェクト」の進行で新要素が増えていくでしょう。これに対し、私はDSに認定されたことによって、自らが積極的に新しい情報を感じなくてはいけないと、よい意味のプレッシャーとして思うようにしています。

Q.今年も中国の養成講座を受講されていますが、DSに期待すること、要望はありますか

養成講座は「歴史」や「グルメ」など、分野ごとに出題されるので、添乗や業務に備えて積み重ねてきた知識の整理ができ、役に立ちました。認定を得ることで自信に繋がることは確かだと思います。

期待することといえば、この資格はお客様にメリットがあるものでなければならないと思っています。添乗でも、企画でも、接客でも、担当者がスペシャリストだということがわかれば、お客様はさらに安心されるのではないでしょうか。お客様はきっと旅行のプロに、それを期待しているのだと思います。

しかし現状は弊社も含め、お客様にDSであることを知らせず、社内だけの専門家で終わっている旅行会社も多いと思います。DSに対する一般の認知度が低いために伝えにくいとの課題もありますが、認定者が積極的に伝えられる環境整備も必要かもしれません。

Q.旅行の仕事の素晴らしいと思う点は何でしょうか

本や雑誌、テレビなど、日常で目に触れるメディアでは、頻繁に旅行に関係する情報が報じられています。私は旅行が好きですから、休日もこれらの情報を見たり、何かを調べようと思うのは苦ではなく、むしろ楽しみの一つです。旅行業界ほど日常生活で得られる情報を仕事に活かすことのできる業界はないと思うのです。

お客様に旅行を説明するときに自分の旅行経験とあわせてお話しすれば、臨場感が伝わるからか信頼してくださるのを感じます。それでお客様が喜んでくださればこちらもうれしくなり、多少つらいことがあっても、それが頑張ろうと思う原動力になります。自分自身が商品とまではいいませんが、多くの情報を持てばお客様を惹きつける企画や添乗に活かしていける。いつか、そうなりたいと思っています。

ありがとうございました。


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