JTB、「既存事業を破壊してでも」探す新たなビジネス(前)

業界外のスタートアップ4社を支援
国内唯一の大型アクセラレータープログラム

  • 2018年9月19日(水)


JTBの支援を受けた4社のロゴマーク
 JTBはこのほど、2回目となる大規模スタートアップ支援プログラム「JTBアクセラレーター2018」を締め括るデモデイ(発表会)を開催し、支援したスタートアップ4社と共同開発した新たなビジネスプランを発表した。同プログラムは「独自の着想と革新的なテクノロジー、事業の実現への強い思いを持つ起業家および事業家」を、JTBとITコンサルティング会社のゼロワンブースターが選抜・支援し、事業の開始や拡大に向けて加速(アクセラレート)させるもの。初回の「JTBアクセラレーター 2016」からは、農業に特化したITベンチャー企業のファームフェスとの協業による、遊休農地の企業向けレンタルサービス「RE FARM」などが生まれている。

 選抜されたスタートアップは、JTBとゼロワンブースターのリソースやメンター(指導者)のネットワークなどを利用できるほか、企業としての信用力を向上させることができ、さらにはJTBからの出資や事業提携なども視野に入る。舵取りを担うJTB執行役員経営戦略本部副本部長の上田泰志氏が「これまでの延長線上に未来はない。既存の事業モデルを破壊してでも新たなイノベーションを生み出す」と語る同プログラムの今回の成果について、前編・後編の2回にわたり紹介する。


応募案件は254件に大幅増
求む「オールドエコノミーな会社」にない発想

「JTBアクセラレーター2018」のロゴマーク  今年の「JTBアクセラレーター」は「延長線上にない未来を共に創る」をスローガンに、「人々の生活の質の向上」「社会と地域の持続的な発展」「人と社会を幸せにする存在としての企業の社会的価値向上」の3つをテーマとして設定。昨年の11月と12月に各1回開催したセミナーには計211名の志望者が集まり、応募案件の総数は前回の倍以上の254件に上った。

 今年3月にはビジネスプランコンテストを実施。革新性や開始への意志、チーム力などを審査した結果、個人用飛行機事業のOpenSky、外国人日本語人材紹介事業のバク宙、小型衛星事業のワープスペース、不動産クラウドファイナンス事業のクラウドリアルティの4社を選抜した。その後、4月から8月までは各社がリソースやメンタリングなどの提供を受けて、カタリスト(JTBの社内資源とスタートアップをつなぐ人材)とともにビジネスプランを検討。デモデイでの成果発表を迎えた。なお、4社はいずれもこれまでに旅行会社との接点がなく、OpenSkyについてはプログラムへの参加を機に会社を設立したという。

金子氏  ベンチャーキャピタルなどから参加した約80名を前に開会の挨拶をした、JTB常務取締役経営戦略本部本部長の金子和彦氏は、4社のビジネスプランについて「我々のようなある意味『オールドエコノミーな会社』にはないスピードや柔軟性、大胆さがあり、大きな気づきを得る機会となった」と評価。あわせて「今後もさらなる発展の道筋をともに歩みたい。オープンイノベーションの経験は浅いので、皆様にはご指導やご鞭撻をいただきたい」と呼びかけた。

 ゼロワンブースター代表取締役CEOの鈴木規文氏は、海外でのアクセラレータープログラムのトレンドなどについて説明。世界各国で「Booking.com Booster」など旅行関連の大規模プログラムが多数実施されている一方、日本ではようやくJTBが着手したことについては「非常に大きな遅れをとっている」と指摘した上で、「まずは第一歩を踏み出したことに意味がある」と評価した。

鈴木氏  アクセラレータープログラムの意義については、多くの店鋪を抱えていた米国のビデオレンタルチェーン大手のブロックバスターが、映像ストリーミング配信会社のネットフリックスからの買収案を断り、その後に倒産したエピソードを紹介して説明。「大きな既存事業を持つ会社が攻めにくい領域に踏み込むには、やはりスタートアップと組むことが必要」と強調し、「数ヶ月では劇的な評価が見えにくいかもしれないが、POC(Proof of Concept:新しい概念などの実現可能性を示すための試行)を固める上では極めて重要」と述べた。

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