エアライン, 解説・コラム — 2022年6月20日 11:49 JST

IATA、日本に入国制限緩和求める「アジアの重要な目的地」

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 IATA(国際航空運送協会)は現地時間6月19日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による人々の渡航への影響について、アジア太平洋地域では大半の国・地域でワクチン接種者は検疫を受けずに渡航できるようになったものの、PCR検査など出入国時の検査が旅客需要回復の足かせになっていると報告した。また、日本政府にはインバウンド(訪日客)の受け入れ再開だけでなく、さらなる入国制限緩和を求めた。

カタールのドーハでアジア太平洋地域の渡航制限の状況を報道関係者に説明するIATAのフィリップ・ゴー・アジア太平洋地域バイスプレジデント=22年6月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 カタールのドーハで20日から開かれる第78回AGM(年次総会)を前に、IATAのフィリップ・ゴー・アジア太平洋地域バイスプレジデントは19日に開かれた報道関係者向け説明会で、「アジアのほとんどの地域で、ワクチン接種者は検疫を受けずに渡航できるようになったが、アジアの多くの地域では、COVID-19の検査がまだ必要だ。10の国・地域では、ワクチン接種者に出国前の検査を義務付けており、12の国・地域では到着後の検査を義務付けている。これらの渡航制限が適用され続ける限り、旅行者に不便を強いている」と指摘した。

 日本では1日当たりの入国者数の制限が6月1日から緩和され、これまでの2倍にあたる1日2万人としており、10日からは外国人観光客の受け入れを再開した。一方、入国時にPCR検査の陰性証明が必要であるなどの制限は続いている。

 日本の現状について、ゴー氏は「日本政府は最近、訪日客を受け入れると発表したが、まだ非常に制限されている。日本はアジアの大部分にとって非常に重要な目的地であり、日本政府が将来的に国境をより広く開放することに期待している」と語った。

 アジア全体の旅客需要回復を加速するために必要な措置として、ゴー氏は(1)予防接種を受けた旅行者の制限をすべて撤廃する、(2)ワクチン未接種者に対する検疫とCOVID-19検査を廃止する、(3)マスク着用義務の解除(他の屋内環境では不要になった場合)の3点を挙げた。

 IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は、2021年10月に開かれた前回のAGMでも、ワクチン接種者に対する移動制限に否定的な考えを表明している。AGMは年に1回開催され、世界各国の航空会社や機体メーカーなどの首脳陣が一堂に会し、航空業界の重要な指針が示される。

 また、旅客需要の回復に伴い、これまでは地域限定の課題であった空港の混雑や人手不足といった課題が表面化する可能性を示唆。今後の回復局面で航空業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性を指摘した。

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