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ウクライナ侵攻で「ロシア専門旅行社」どうなった?

川口雅浩・経済プレミア編集部
ロシアの首都モスクワ中心部の聖ワシリー寺院=JIC旅行センター提供
ロシアの首都モスクワ中心部の聖ワシリー寺院=JIC旅行センター提供

ロシア専門旅行社とウクライナ侵攻(1)

 ロシアのウクライナ侵攻で、日本からロシアへ向かう留学生や旅行者は激減している。これまで現地に数多くの留学生や旅行者を送り出してきたロシア専門の旅行会社は今、どうなっているのか。

 東京を拠点に大阪とモスクワにオフィスを構える「ジェーアイシー(JIC)旅行センター」(杉浦信也社長)は、ロシア留学を志す学生やロシア出張のビジネスマン、一般の旅行者らを対象に、ビザの発給申請や現地案内などを行ってきた。ロシアからも出張者や訪日客らを受け入れる国内有数のロシア専門の旅行会社だ。

 「ロシアのウクライナ侵攻で、今年の3月はロシアから帰国する留学生やビジネスマンらの帰国便の手配でたいへんでしたが、4月以降はパタッとやみました。日本からロシアに向かう留学生やビジネスマンは今もわずかにいますが、観光客はほぼゼロです」

 JIC旅行センターの杉浦社長は、現状をこう語る。そもそも旅行会社は2020年春の新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立たされていた。そこにウクライナ侵攻が加わった。

売上高は9割減

 同センターはコロナ禍前まで、毎年200人程度の留学生をロシアに送り出していた。ところがコロナ禍で留学希望者は年間20~30人に減少。一般の旅行も渡航が制限されたため、20年度と21年度の売上高は19年度の1割以下に激減した。

 「この2年間、雇用調整助成金や持続化給付金などコロナ対策で受け取れる補助金はすべて申請しました。それでも焼け石に水ですが、ロシアのビザを取りたいというお客様はいらっしゃるので、…

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経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。