3月末での営業休止が決まった那須温泉ファミリースキー場=26日午後、那須町湯本

 栃木県那須町は27日、60年の歴史を持つ同町湯本の町営「那須温泉ファミリースキー場」の営業を3月末で休止すると発表した。利用客の減少によって財政負担が増しているためで、事実上の閉鎖となる。今後は一年を通した観光拠点への転換に向け、跡地の活用法を検討する。

 同スキー場は1961年、「国設町営那須岳スキー場」として開業。リフト2基で緩斜面中心の家族向けとして親しまれ、70~80年代は毎年5万人前後の利用客がいた。しかし近年はレジャーの多様化や最新設備を備えたスキー場の台頭で減少傾向が続き、記録的な雪不足となった2019年度は820人、20年度は新型コロナウイルス禍の影響で8480人に落ち込んでいた。

 近年の同スキー場の運営費は年間2千万~3千万円。町は16年から指定管理者制度に切り替え、第三セクター「那須未来」に運営を委託したが、人工降雪機がないこともあり、経営安定化にはつながらなかった。このまま営業を継続した場合、新年度から3年間は運営費に加え、老朽化したリフトの修繕費計約5800万円がかかるという。

 同スキー場の敷地は約10万平方メートル。夏場はパラグライダーの愛好家らに利用されている。平山幸宏(ひらやまゆきひろ)町長は記者会見で「リフトは使えなくなるが、子どもたちが雪遊びするのは十分に可能。民間の知恵も借りながら、一年を通して使える観光施設に転換を図りたい」と跡地の活用に意欲を示した。

 同スキー場は27日も通常営業しており、那須町高久甲、自営業女性(36)は「那須町の小学生はみんなここでスキーを覚えるし、私にとっては家族で何度も訪れた思い出の場所。スキー場でなくなってしまうのは悲しい」と残念がっていた。