シンガポール、21年の観光客数88%減 コロナで過去最低
【シンガポール=谷繭子】シンガポール政府観光局は25日、新型コロナウイルス禍で2021年に同国を訪れた外国人観光客数が33万人と、過去最低だったと発表した。コロナ前の1~2月が好調で、通年で270万人が訪れた20年より88%減少。コロナ前で1910万人と過去最高だった19年と比べると98%減だった。
21年の観光業収入は19億シンガポールドル(約1600億円)と、20年比60%減だった。
22年の見通しは「不確定要素が多過ぎる」として発表しなかった。ただキース・タン長官は同日の記者会見で「22年は国際往来再開の年だ。観光客歓迎の方向へ転換する」と強調した。
シンガポールは21年9月以降、ワクチン接種済みなら入国後の隔離がいらない「ワクチン旅行」制度を導入。観光業回復の呼び水とする狙いで、対象国は24カ国に広がった。観光局によれば、同制度の利用申請をした外国人旅行者は12月末までに10万人に達した。水際対策が引き続き厳しい日本は対象になっていない。
感染力の強い新型コロナの変異型「オミクロン型」の急増で対象国の拡大をいったん止めたものの、タン長官は「(ワクチン旅行の)手続きを簡素化し、受け入れ範囲を広げていきたい」と述べた。国際会議や見本市など法人旅行の拡大にも力を入れる方針だ。
回復に向けた懸念要因は人材不足だ。コロナ禍で観光業界から、コロナ前の30%に当たる約2万5000人が離職したという。
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