オークラ、コロナ禍の激戦区・京都に20日開業

内覧会で公開された「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」の客室「別邸スイート」。バルコニーも設けられている=18日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)
内覧会で公開された「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」の客室「別邸スイート」。バルコニーも設けられている=18日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)

20日開業予定の「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」(京都市左京区)が18日、報道陣に公開された。「ホテルオークラ」ブランドが国内で新規出店するのは約20年ぶりで、国内外から人気の高い京都で中長期的な観光需要を狙う。京都は高級ホテルの進出が続く激戦区。足元では新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が急拡大している。「泊まる」以上の付加価値でどこまで差別化できるかが、ホテルの生き残りのカギとなりそうだ。

「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」の外観=18日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)
「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」の外観=18日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)

ホテルは隣接する寺院、真宗大谷派岡崎別院(東本願寺岡崎別院)の所有地を借り、三菱地所が開発した。地上4階建て、全60室。70平方メートルあるバルコニー付きの最高級スイートルームは1室1泊12万円から。小規模ながら一人ひとりに合わせたサービスを提供する「スモールラグジュアリーホテル」で、〝食のオークラ〟を体現すべく、京野菜などを使ったフランス料理を提供するレストランなども設けた。

内覧会で公開された「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」のレストラン=18日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)
内覧会で公開された「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」のレストラン=18日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)
内覧会で公開された「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」の客室「別邸スイート」。バルコニーも設けられている=18日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)
内覧会で公開された「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」の客室「別邸スイート」。バルコニーも設けられている=18日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)


当初はフランス料理店やホテルを展開するひらまつ(東京)が運営するはずだったが、コロナ禍の業績悪化で撤退。開業も昨秋から延期した。

内覧会で公開された「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」。竹細工で装飾されたエレベーターホール=18日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)
内覧会で公開された「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」。竹細工で装飾されたエレベーターホール=18日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)

同ホテルの新川達也・総支配人は「インバウンド(訪日客)も狙っていないわけではないが、いつ戻るか先が見通せない。利用客として意識するのは国内のシニア層。夫婦や女性同士がゆっくり過ごせる大人の隠れ家的な施設にしたい」とする。

だが、1月下旬とみられていた政府の観光支援策「Go To トラベル」の再開が感染再拡大で困難となり、出だしから需要の下支えを失った。足元では首都圏などに蔓延(まんえん)防止等重点措置が適用される方向で、予約のキャンセルが少しずつ出始めているという。

コロナ禍の現在も京都市では高級ホテルの開発が止まらず、令和5年にはデュシタニ京都(下京区)、6年にはシックスセンシズ京都(東山区)、京都東山バンヤンツリー(東山区)が開業する予定だ。オークラに関して、ホテルジャーナリストの井村日登美氏は、「オークラらしい食で特色を打ち出すなど外資ホテルとの差別化が欠かせず、厳しい船出となるだろう」とする。

ただ、勢いを増しているかのような外資高級ホテルも、認知が伸びず、開業から数年でブランド変更を余儀なくされるケースが出ている。

観光社会学を専門とする立命館大学の遠藤英樹教授は「ただ泊まるだけでなく、地域文化や宿泊客同士の出会いの場を提供するプラットフォームになるなど、ホテルのあり方も変わる必要がある。高級だけでは、ワン・オブ・ゼム(多くの中の一つ)に過ぎなくなる」として、コロナ禍も加わった激戦区の京都で生き残る難しさを指摘した。(田村慶子)

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