新型コロナウイルスの影響で、東北地方の空港が苦境にあえいでいる。発着便の運休が増えて搭乗者数は激減し、黒字が続いていた空港ビル経営にも影が差す。現状は国や地元自治体が税で支えるが、将来の財政も見すえた議論が必要となりそうだ。

 3連休明けの1月11日、福島空港(福島県玉川村・須賀川市)は静かだった。ぽつり、ぽつりと客が訪れ、搭乗手続きが進む。

 大阪出張で伊丹空港行きの便に乗るという福島県本宮市の自営業男性(53)は1年ぶりに搭乗。「以前は年3~4回出張していたが、コロナ後は控えていました」。そう言って飛行機に乗り込んだ。

 県によると、2020年度の福島空港の搭乗者数は前年度比73・7%減の6万8355人。コロナの感染拡大で国内線は多くの便が運休、国際線もチャーター便は止まったままで、過去最低となった。

 これに伴い、空港収支も悪化した。航空機の着陸や停留にかかる料金などが入らなくなり、年間の赤字額が前年度から5100万円増の6億6900万円にふくらんだ。空港は県が管理しており、赤字分は県税でまかなう。

 空港ターミナルビルを運営する第三セクターの福島空港ビルも、21年3月期決算で最終損益が2700万円の赤字に転落。免税店での売り上げが落ち込み、航空会社からの賃料も減るなどし、日本航空が撤退した影響が出た09年以来、11年ぶりの赤字となった。同社の担当者は「原発事故で減った利用客が回復しつつあっただけに、ショックは大きい」とこぼす。

 空港利用を促すため、県もあの手この手を講じている。昨年11月には、国のコロナ対応の臨時交付金を使い、搭乗者全員に現金5千円を配るキャンペーンを実施した。1億3千万円(2万6千席分)の予算を確保したが、SNS上などで話題になったこともあって早々に予算上限に達し、当初1月10日だった終了予定が12月29日に早まった。

 キャンペーンにより、国内線の搭乗者数は11月が前年同月比で40・8%、12月が同77・9%も伸びたという。県空港交流課の佐藤安弘主幹は「効果があった。来年度も違った形でキャンペーンを打ち、空港利用を広げたい」と言う。

「国と自治体の財政、セットで考えて」

 東北の他の空港も、厳しい状況に置かれている。

 青森空港(青森市)と秋田空港…

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