「地獄の門」の炎を消せ トルクメニスタン、観光より資源輸出を

モスクワ=石橋亮介
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 「地獄の門」の炎を消せ――。中央アジアトルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領が、国内の砂漠で半世紀にわたって燃え続けている天然ガスの火を消すよう命じた。大地に開いた大穴から炎が上がる姿で知られる国内有数の観光地だが、貴重な資源をただ燃やすのは無駄だと強調し、有効利用を求めた。

 「地獄の門」があるのは、首都アシガバートから北に約260キロのカラクム砂漠中央部。地面に空いた直径約60メートル、深さ約20メートルの穴から噴き出す天然ガスが燃え、赤々とした炎が上がっている。

 地元メディアによると、穴は1971年、資源探査の掘削調査の最中に地面が崩落してできた。内部の有毒ガスが周辺に拡散するのを防ぐため地質学者が火をつけたところ、すぐ消えるとの予想に反して燃え続けているという。正式名称は「カラクムの輝き」だが、その見た目から「地獄の門」の通称が定着し、国内外の観光客を引きつけている。

 国営通信によると、ベルドイムハメドフ氏は7日、今年最初の閣僚会議で、「長年にわたって大量のガスが燃え続け、近隣の環境や住民の健康に悪影響を及ぼしている」と指摘。「輸出すれば相当の利益となり、国民の幸せのために使える資源が失われている」と述べ、石油・ガス分野を担当する副首相に対し、専門家を招集して消火方法を見つけるよう命じた。

 トルクメニスタンは天然ガスの埋蔵量が世界第4位の資源大国で、輸出先の拡大を進めている。ベルドイムハメドフ氏は7日の会議で、二酸化炭素排出量の少ない天然ガスの優位性を強調し、「国のエネルギー産業の発展に必要な、あらゆる条件を整えなければならない」と述べた。(モスクワ=石橋亮介)

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