エアアジア、7~9月最終赤字240億円 東南ア移動制限で
【シンガポール=谷繭子】マレーシアの格安航空会社(LCC)大手、エアアジア・グループが発表した2021年7~9月期決算は、最終損益が8億8700万リンギ(約240億円)の赤字となった。前年同期は8億5100万リンギの最終赤字だった。新型コロナウイルスの感染対策のため、東南アジア各国が実施した移動制限が響いた。
売上高は前年同期比37%減の2億9500万リンギだった。マレーシアやインドネシア、タイが厳格な国内の移動制限を敷き、国内線が再度の減便を余儀なくされ、航空部門は70%減少した。
輸送能力は前年同期に比べ83%減った。新型コロナの流行前の19年7~9月期と比較すると、98%減少した。
マレーシアで10月半ばに国内移動が解禁したのに続き、東南アジア各国で国際往来の制限緩和が進み、航空市場には明るい兆しも見え始めている。「足元の予約は増加している。この傾向は22年にかけて続く」(幹部)。21年末までに輸送能力を新型コロナの流行前の60%まで戻す予定だ。
9月末時点の債務超過額は59億リンギと、20年末時点の35億リンギから膨らんだ。21年末までに10億リンギの増資を実施し、新規融資などで資金調達を急ぐ。リース契約の条件見直しも進める。トニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は「22年末まで必要な流動性は確保できる」と強調した。
強化を進めているデジタル事業は売上高が2.4倍になったものの、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が1億2980万リンギの赤字となり、前年同期の340万リンギの赤字から大きく膨らんだ。シェア獲得のための先行投資がかさんだ。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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