ANA転換社債1500億円 欧州などで調達、財務基盤強化
ANAホールディングス(HD)は24日、ユーロ円建ての新株予約権付社債(転換社債=CB)で1500億円を調達すると発表した。業務効率化のためのシステム投資や負債の借り換えに充てる。金利ゼロの転換社債で利払いの負担を抑えつつ、将来的な資本増強の余地も確保する。新型コロナウイルス禍で負債が増大する中、財務基盤の強化につなげる。
発行日は12月10日(ロンドン時間)で期間は10年。投資家は欧州とアジアを中心とする海外市場(米国除く)で募集する。利息が付かないゼロクーポン債とし、株式への転換価額は需要動向を見て今後決める。
調達した資金のうち約500億円はデジタル投資のほか、アジアに就航する格安航空会社(LCC)の新ブランドの立ち上げの資金などに充てる。700億円は2017年に発行したCBのうち22年9月が満期となる分の償還に、残りも長期債務の返済に活用する。
ANAHD株の終値が20取引日連続で転換価額の120%以上となった場合に、同社が24年12月10日以降に繰り上げ償還できる条項を盛り込み、株式への転換を促しやすくした。
ANAHDがCBを発行するのは17年に総額1400億円を調達して以来。新型コロナの感染拡大で旅客需要が落ち込んでからは大型の資金調達を相次ぎ実施しており、20年10月に劣後ローンで4000億円、同年12月には公募増資で3000億円弱を調達した。
同社の9月末時点の手元資金は8208億円、有利子負債は1兆6368億円で、自己資本比率は26%となっている。片野坂真哉社長は「直ちに資本増強する必要は無い」としていた。コロナ禍による影響が長期化しており、中長期的な財務健全性の確保に手を打つ必要があると判断した形だ。