タイ航空、1~9月最終黒字1800億円 リストラ寄与
【バンコク=村松洋兵】経営再建中のタイ国際航空が15日発表した2021年1~9月期の連結決算は、最終損益が511億バーツ(約1800億円)の黒字(前年同期は495億バーツの赤字)だった。1~9月期として最終黒字は5年ぶりだ。債務整理や資産売却などリストラに伴う特別利益の寄与が大きく、先行きは不透明なままだ。
本業のもうけを示す営業損益は214億バーツの赤字(同339億バーツの赤字)と苦戦が続いている。旅客数が8割減ったことなどで売上高は66%減少した。タイ政府は9月から外国人旅行客の受け入れを段階的に拡大しているが、客足の本格的な回復には至っていない。
本業不振のなかで最終黒字となったのは、タイ中央破産裁判所の承認を得た事業再生計画の実行で730億バーツの特別利益を計上したからだ。債務返済の一時停止や航空機リース料の減額などで607億バーツの利益が発生したとみなした。保有株式や不動産も売却した。
9月末時点の負債総額は2401億バーツと、20年12月末に比べ977億バーツ減少した。事業再生計画に基づき借り入れや買掛金の金額を再評価した。現金および現金同等物は9月末時点で54億バーツで、同32億バーツ減少した。運転資金の確保にむけ民間金融機関から250億バーツの調達を目指している。