米、入国制限を緩和 ワクチン義務化 隔離不要に

米空港で働く従業員(ゲッティ=共同)
米空港で働く従業員(ゲッティ=共同)

【ニューヨーク=平田雄介】米政府は8日、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした入国制限を緩和した。これまで入国を原則禁止してきた欧州諸国や中国など33カ国からの渡航が可能になった。全渡航者にワクチン接種の完了日から14日以上が経過しているとの証明書の提示を義務づける一方、入国後の隔離は不要。観光客やビジネス客の往来が活発になると見込まれ、米航空・観光業界が歓迎している。

ロイター通信によると、アメリカン航空を利用して8日に訪米する外国人客は1日時点の2万人から50%増える見通し。ニューヨーク市内の土産物店で働く男性(57)は7日、「外国人客の減少は大打撃だった。劇場や美術館などの施設が本格的に再開しているので、多くの人に訪れてほしい」と頰を緩ませた。

米政府は昨春以降、欧州域内で出入国管理を撤廃した「シェンゲン協定」加盟26カ国や英国のほか、中国、インド、ブラジルなどを14日以内に訪れたことがある外国人の入国を原則として禁じてきた。

空路での米国への渡航者は接種証明書に加え、渡航前72時間以内に取得した陰性証明書も必要。渡航制限の対象外だった日本人にとっては新たに接種証明書が必要となる。一方、18歳未満の子どもや健康上の禁忌がある人に接種完了義務は適用されない。

対象ワクチンは日本でも薬事承認されているファイザー▽モデルナ▽アストラゼネカのほか、ジョンソン・エンド・ジョンソン▽中国医薬集団(シノファーム)▽科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の製品。

日本外務省がまとめた各国・地域の入国制限措置によると、日本から他の先進7カ国(G7)へ渡航する場合、ワクチン接種を完了していれば、どの国でも基本的に自主隔離が不要となっている。フランスとドイツ、英国では出発前検査も不要。ただ、英国は入国後2日目までの検査を出発前に予約し、実際に受けなければならない。

イタリアは入国前72時間以内、カナダは搭乗前72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書の提示を求められる。

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