HIS、異例の増資計画再提出 東証から指摘受け
エイチ・アイ・エス(HIS)は30日、前日に発表した計215億円の資本増強計画を取り下げて再提出すると発表した。3回に分けて調達する計画をまとめて発表したが、東京証券取引所から別々に提出するよう指摘を受けた。発表した資本計画の取り下げは異例。同日には2021年10月期の最終損益が530億円の赤字になると発表した。
HISは29日夕、創業者の沢田秀雄会長兼社長と海外の投資ファンドに第三者割当増資と新株予約権を発行し、計215億円の資本増強を実施すると発表。11~12月に3回に分けて払い込みを受ける計画で、3回分をまとめた有価証券届出書を関東財務局に提出したが、提出後に東証の指摘を受けて手続きをやり直すことになったという。東証は今回の件を巡って「個別案件についてはコメントできない」としている。
HISは今回の増資計画について、東証と事前協議の上、3回分をまとめた届出書の提出に向けて準備を進めてきたと主張している。今回の事態を受けて近く1回分にあたる約71億円の資本増強策をまず再提出する。残りの2回分の提出時期は未定だが、全体の資本増強策や株式の割当計画に影響はないとしている。
30日には21年10月期の連結売上高が前期比71%減の1250億円、最終損益が530億円の赤字(前期は250億円の赤字)になる見通しを発表。未定としていた年間配当は無配とする。10月から全国で緊急事態宣言が解除され、国内旅行需要は回復に向かいつつあるが、主力の海外旅行の取扱収入が大幅に落ち込み苦しい状況が続く。