アリタリア-イタリア航空が10月14日に運航を停止する。後を継ぐのは新航空会社「ITA」で、日本への就航計画も表明しているところ。このページではイタリアのフラッグキャリアについて、これまでとこれからをまとめる。

アリタリアの歴史

アリタリアは、1947年にアリタリア航空(Alitalia-Aereolinee Italiane Internazionali)として運航を開始したが経営難が続き、2009年1月には新会社アリタリア-イタリア航空(Alitalia – Compagnia Aerea Italiana)として再出発。

しかしその後も事態は改善せず、再建当初は資本参加したエールフランス/KLMが手を引いてエティハド航空が株式の49%を取得するなど紆余曲折を経るも、2017年に再び経営破綻。現在は国有化され、10月14日で運航を停止してITAにフラッグキャリアの座を譲ることが決まっている。

ITAは10月15日の運航開始を予定

ITAは「Italia Trasporto Aereo」の略で、当初は2021年の早いタイミングでの運航開始を目指していたが、発着枠などのアリタリアの資産をどの程度まで引き継ぐかについて欧州委とイタリア政府の交渉で合意が得られずに就航が遅れた。

現在はそれらの条件が定まってAOCも取得し、運航開始への準備が進められているところ。条件については、ミラノ空港の発着枠の15%、ローマで57%を手放すことなどが決まった。

「アリタリア」ブランド継続の可能性

「アリタリア」のブランドも公募にかけられる予定だが、ITAは獲得に意欲を示している。公募は、ilfattoquotidiano.itによると1回目の入札が2.9億ユーロを最低価格としたところ応札がなく、価格制限をなくした第2回の入札ではITAとして「すべきことをした」とのこと。

権利が獲得できれば実際の譲渡よりも前にロゴの仮使用が認められるといい、再び「アリタリア」が運航することになる。ilfattoquotidiano.itの記事では、ITAのCEOが10月9日に「まだ我々も自分たちをなんと呼ぶべきか分かっていないが、数日中に問題は解決し、15日には判明する」と語っており、アリタリアブランドが維持される可能性は少なくない様子で、継続が決まったとの報道も出始めている

ITAがいくらで応札したかは明かされてなく、2.9億ユーロは見合わないと考えたとのことだが、一方で機材の塗装や世界の空港で利用しているロゴやブランドを刷新するのにも膨大な額がかかることになり、継続のメリットは大きい。ちなみに、ツーレターは「AZ」のままとのこと。

なお、アライアンスについては未定だが、デルタ航空とルフトハンザ・グループが提携に意欲を示しているところ。このうちルフトハンザは、スイスインターナショナルエアラインズがスイス航空のブランドを残さなかったように、ITAもアリタリアのブランドを捨て、ルフトハンザ・グループで再出発することが成功の秘訣だとアピールしているという。

機材と従業員

機材は、まずは52機を運航し、2025年までに105機程度に増やしていく計画。初号機の塗装には「Born in 2021」と大きく描いている。

また従業員の数は、アリタリアが1.1万人であったのに対し、ITAでは年内で3000人弱、2025年に5500人程度と大きく縮小するとしており、現従業員らは雇用などを求めてストライキや抗議活動を展開している

路線展開、日本も羽田に就航へ

路線については、国内線や欧州内路線のほか、米国4路線もすでに申請東京・羽田やサンパウロ、ブエノスアイレスなどへの就航計画も明示している。

ロイヤルティプログラムは新設、FAQページで案内

なお、公式サイトではFAQページも用意されており、旧アリタリアのバウチャーはITAへの転用が認められていないこと、またロイヤルティプログラム「ミッレミリア」は法人カードを含めて引き継がずに新しいプログラムを計画していることなどを紹介している。