マレーシア、州を越える移動解禁 成人の接種率9割到達
【シンガポール=中野貴司】マレーシアのイスマイルサブリ首相は10日のテレビ演説で、新型コロナウイルスワクチンの接種完了者を対象に11日から州を越える移動を全面的に解禁すると発表した。成人のワクチン接種率が9割に達し、人の移動が増えても感染が再拡大するリスクは小さいと判断した。ホテルや航空など観光関連産業の回復につながる可能性がある。
マレーシアでは非常事態宣言が発令された1月以降、警察の許可を得ない限り、州を越える移動が原則、禁止されていた。6月に経済・社会活動を厳しく制限するロックダウン(都市封鎖)が導入されてからも新型コロナの感染者増加が続いていた。
9月以降はワクチンの普及に伴って感染者が減少し、直近では1日あたりの新規感染者数が1万人を切り、ピークの半分以下になっている。政府は9月中旬から北部のランカウイ島で試験的に国内の観光客を受け入れるなど、移動規制の緩和の準備を進めてきた。
イスマイルサブリ氏はワクチン接種率が9割に達したことを解禁の理由に挙げたうえで「これからは長く離ればなれになっていた地方に住む両親に自由に会いにいったり、旅行したりできるようになる」と述べた。同時に、帰省前に自主的に新型コロナの検査を受けるなど国民に責任ある行動を取るよう呼びかけた。
マレーシア人の海外渡航についても11日から、ワクチン接種者を対象に事前の手続きを緩和するが、帰国後の隔離措置は維持し、海外からの持ち込みで新型コロナの感染が再び拡大しないようにする。
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