入国時の待機、10日間に短縮 ワクチン接種証明で
政府は27日、新型コロナウイルスの水際対策を10月から緩和すると発表した。海外からの入国者のうちワクチンを接種した人は14日間の自宅などでの待機期間を10日間に縮める。
米ファイザー、米モデルナ、英アストラゼネカのワクチンを接種した人のみを緩和する。英国やインドなどから入国する場合に求めてきた検疫所が確保した施設での3日間の待機措置も免除する。
検疫所が確保した施設で6日間または10日間待機する必要がある国・地域からの入国者は接種しても緩和の対象外だ。6日間の待機が必要になるブラジルやフィリピンなどがあてはまる。
加藤勝信官房長官は27日の記者会見で「水際措置を段階的に見直す上で最初の取り組みとして実施する」と述べた。外国人の新規入国の原則停止について「行動管理や検査も組み合わせた管理措置による入国などを検討する」と語った。
これまで入国者には一律に自宅などでの14日間の待機を求めた。10月からはワクチンを接種した人は10日間外出せず検査で陰性を証明すれば自由に行動できる。ワクチンを打っていない人は従来通り、14日間の待機が必要になる。
変異ウイルスの流行国の指定のありかたは見直した。すでに国内でまん延するデルタ型ではなく「ベータ型」や「ミュー型」といったほかの変異ウイルスの流行国を主に指定する。
水際対策の緩和は経済界からの要望が強かった。経団連は6日、入国時の14日間の隔離をワクチン接種を受けた人は免除するよう提言した。米欧はすでにワクチン接種の義務付けなどに動く。
出入国の制限は両国が同じ条件を課す「相互主義」が原則となる。緩和の遅れは日本の接種証明を利用できる国・地域が増えない要因として指摘されてきた。
与野党には水際対策の緩和に抵抗感が強い。自民党の佐藤正久外交部会長は検討の段階で「間違ったメッセージを国民に与える可能性さえある」とツイッターに投稿した。立憲民主党の枝野幸男代表は27日に「ナンセンスだ」と批判した。