マッキンゼー・アンド・カンパニーはこのほど、中国の旅行市場の回復に関するレポートを発表した。これによると、すでに回復傾向が見られている国内旅行に対し、海外旅行は今後も12ヶ月から18ヶ月は現在と同様に止まった状態となる可能性が高いという。

国内旅行はすでにコロナ前の水準に戻り、感染拡大による突発的な減少はあるものの、全体としてはサプライヤーも供給量を増加して需要に対応しているところ。国内線では座席数が19年比15%増、旅客数も8%増となっているという。

これに対して海外旅行はこれまでのところほとんど回復してなく、旅客数も座席数もコロナ前から95%減という状況。不要不急の海外旅行を避けるよう求めるガイダンスも出ており、さらに帰国時には検査に加えて、1月から「14+7+7」と称される14日間のホテル隔離、1週間の自宅隔離、1週間の健康監視が義務付けられている。

こうした中でマッキンゼーは、中国政府の慎重姿勢は今後も続き、ある程度の規模での出国が再開されるのは早くても2022年の下半期か2023年の上半期以降と予測。トラベルバブルの相手国としても、日本や韓国、東南アジア各国のほとんどや豪州は感染が拡大しているため、候補から外れている状況だとした。

また、回復期においては、ビジネスやVFRがテストとして再開され、レジャー、特に団体旅行は最も遅くなるとの予測だ。

なおEUでは、欧州委が各国に対し中国と香港、マカオについて渡航制限を段階的に解除していくべきとする声明を発表。ただし中国については、欧州からの入国を認めることが条件となっており、マッキンゼーの言う慎重姿勢もあるため実現は不透明だ。