土石流で観光減収が約15億円 熱海市推計
村野英一
静岡県熱海市は30日、伊豆山地区で発生した土石流の影響で、観光業で約15億円の損失があったとの推計を公表した。7月中に市内のホテル・旅館など宿泊施設で約5万6千人分のキャンセルが出たとみている。市はコロナ禍の状況を見ながら、観光再生に取り組む方針だ。
市はコロナ禍を考慮し7月に見込まれた宿泊客数を約12万人と推定。このうちほぼ全宿泊施設が休業になった伊豆山で2万人、風評被害が出た他の地域は3万6千人の宿泊がキャンセルされたとみる。観光客1人1泊の消費額は約2万7千円との調査データから、観光業の損失を計算した。
人気の高い熱海海上花火大会は、土石流のため7月から中止。9月25日に再開する予定で、11、12月に計8回実施するという。
斉藤栄市長は「市内経済はたいへん厳しい。コロナ禍で経済活性化対策は限られるが、花火大会は応援したい」と会見で述べた。
市は9月議会の補正予算案で、土石流の救助や復旧に関する約12億4500万円の歳出のうち、避難所になったホテルに関する支出が主な部分を占める「避難所運営等経費」に4億7300万円を充てる。
この支出に関し、市長は「費用はかさんだが、ホテルは個室でコロナ対策になり、被災者の心身のケアはできた」と話した。