西鉄の21年3月期、過去最大120億円赤字 今期は黒字に
西日本鉄道が13日発表した2021年3月期の連結決算は、最終損益が120億円の赤字(前の期は66億円の黒字)だった。新型コロナウイルスの影響を受けて過去最大の赤字幅となった。22年3月期は黒字転換を目指すが、事業環境の不透明さもあり売上高予想は2%増にとどめた。配当は未定とした。
21年3月期の売上高は11%減の3461億円、営業損益は95億円の赤字(前の期は164億円の黒字)だった。営業赤字の計上は、1978年3月期に連結決算の公表を始めてから初めて。林田浩一社長は「できる限りの対策は取ったが大変厳しい結果で、非常に重く受け止めている」と述べた。
事業別では運輸業の売上高が3割減った。鉄道やバスの旅客人員は25~27%程度減り、118億円の営業赤字に沈んだ。ホテルを含むレジャー・サービス業は5割減と減収率が最も高かった。旅行や出張が手控えられ、ホテル稼働率は前の期の72%から26%に落ち込み、客室単価も2割低下。営業赤字は110億円となった。
一方、不動産業は大型商業施設が20年の1回目の緊急事態宣言で一時休館となりテナント収入は減ったが、新規分譲したマンション販売が好調だったことから6%の減益にとどまった。物流業は増収増益だった。20年春には一時、物流網が混乱したため年間の国際貨物取扱高は航空輸出で1割減ったが、航空運賃の大幅上昇を料金に転嫁できたことで7割増益だった。
売り上げ減を受け、目標を100億円上回る、250億円分の費用を削減した。鉄道やバスを減便し、販促費や出張費用も減らした。設備投資も300億円分を先送りした。林田社長は前期のコスト削減は「非常時の絞り方」だとして、今期は「支出を抑えながらも『ウィズコロナ』下で成長軌道に向かうべく構造改革を進める」とした。
22年3月期の売上高は2%増の3525億円を予想する。営業損益が50億円、最終損益で25億円といずれも黒字化を目指す。コロナの影響が小さかった20年3月期と比較して売上高は9割、純利益で4割弱の水準となる。5月末まで福岡県で発令されている緊急事態宣言の影響は織り込み、「コロナで下振れした場合もカバーできる余地がある」(林田社長)。
鉄道収入は定期外利用で今期末には平時の9割の水準まで、ホテル稼働率は7割程度にまで回復するとの見通しを立てた。運輸は103億円、レジャー・サービスが80億円、それぞれ営業赤字幅の縮小を目指す。(今堀祥和)