JR四国、運輸収入55%減 20年度
JR四国は26日、2020年度の運輸取扱収入が前年度比55%減の158億円だったと発表した。JR四国の発足以来で過去最低に落ち込み、記者会見した西牧世博社長は新型コロナウイルスの影響を「20年末までに(客足がある程度)戻るのではと思っていた」と述べ、想定以上の打撃を受けたとの認識を示した。
運輸収入は通勤・通学の「定期利用」のほか、乗車券などの「普通利用」で構成される。定期利用は前年度比13%減だったが、旅行客や出張者が中心の普通利用は同62%減まで落ち込んだ。さらに普通利用は「四国内」と「四国―本州間」の合算だが、「四国ー本州間」は同68%減と落ち込み幅が大きい。普通利用の6割を占める本州間の減少を受け、全体の運輸収入が大きく落ち込んだ。
鉄道利用を取り巻く市場動向について、西牧社長は「緊急事態宣言が出るたびに利用客が減少する」と述べ、不透明感が強まっていることを強調した。大型連休中の指定席の予約状況は過去10年間で最低だった20年を上回っているものの、消費マインドの冷え込みを受けて西牧社長は「今後低下するだろう」と話した。21年度の運輸収入の見込みは、「全く先が読めない。20年度以上の数字を目指す」(西牧社長)と述べるにとどめた。
JR四国は5月上旬に21年3月期の決算を発表するが、運輸取扱収入を決算に換算した「純収入」について「110億円規模で減収の影響を受ける」(西牧社長)見通し。大幅な営業・経常赤字は避けられない状況だ。
高松駅の北側に隣接する形で、4階建ての商業施設を23年秋にも開業させる。開発する敷地面積は5200平方メートルで、商業棟のほか約160台の自動車を収容できる駐車場棟を建設する。事業費は非公表で、22年1月にも着工する。
JR四国は19年には高松駅前の土地を再開発する方針を表明していたが、計画の概要発表などが1年ほど遅れていた。駅前の土地では4階建て以上の商業施設を建設できるというが、新型コロナの影響を踏まえて規模を決定。誘致するテナント数を約70施設ほどに絞った。
1~2階は飲食・物販といった業種が中心、3階は美容院やエステなどのサービス関連の店舗をそろえる。西牧社長はターゲットを「日常的な買い物利用を想定しており、(半径)2キロメートル圏内が商圏となる」と述べた。収益の多くがテナント収入で、年間の売上高は60億円を目指す。
(亀井慶一)
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