金沢 再びホテルラッシュ 中心部 今春5軒開業
2021年4月23日 05時00分 (4月23日 09時59分更新)
◇コロナ後需要 期待
◇新生活様式 対応も
金沢市中心部でホテル開業の動きが相次いでいる。新型コロナウイルス感染拡大で昨年は計画中止や開業延期が多かったが、今春は5月までに少なくとも5軒がオープンする見込み。コロナ後を見据え観光需要の回復に期待する一方、「新しい生活様式」に対応したスタイルを模索するホテルもある。 (高本容平、高岡涼子)
東山一のひがし茶屋街そばには五月二日、「ホテルらしく金沢」(十五室)がオープンする。木造三階建ての町家風で、ソファやイスに加賀友禅の絵柄を転写した生地を使用。廊下の組子細工には縁付金箔(きんぱく)をしつらえた。
逆風下だが、運営会社のアリスト(石川県志賀町)は予定通り開業に踏み切ることにした。担当者は「古い町並みが残る茶屋街という立地を生かし、コロナ禍で疲弊した金沢の伝統文化を守っていきたい」と意気込む。
リンナスデザイン(金沢市)は今月三日、長期滞在者にも対応した「リンナスカナザワ」(四十六室)を尾張町にオープン。自ら食材を持ち込み料理できる、おしゃれなシェアキッチンを備え、地元需要も取り込もうとフィットネスジムを設けた。
リモートワークが普及したため関東からのビジネス利用も多いといい、担当者は「これまでのようにインバウンド需要に頼らず、新たな時代に合ったホテルのブランドを立ち上げるチャンスだ」と語る。
大手の動きも活発だ。ABアコモ(東京)は高級カプセルホテル「トリフィート ホテル&ポッド 金沢百万石通」(百七十五室)を三月二十日に上堤町に開業したのに続き、五月二十一日に「ホテルトリフィート金沢」(百六十一室)を本町に開業する。
また共立メンテナンス(東京)は「御宿野乃(おんやどのの)金沢」(三百五室)を今月二十八日に下堤町に開業する。担当者は「コロナ後を見据えて、今こそ新棟のオープンを加速すべきだと考えている」と強気の姿勢だ。
新規開業の動きに「東京五輪のインバウンド需要も見込めず、勝算があるわけではない。建ててしまった以上、少しでも投資分を回収したいのでは」(業界関係者)との見方も。限られたパイをめぐり競争が激化するのは必至で、既存ホテルも差異化戦略を求められそうだ。
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