【詳しく】大阪・関西万博 開幕初日の動き 158の国と地域 参加

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに158の国と地域が参加する大阪・関西万博が開幕しました。世界の分断が進む中、国内外のパビリオンが社会課題の解決に向けた次世代の技術や、伝統、文化などを半年間にわたってアピールします。

158の国と地域、7つの国際機関が参加する大阪・関西万博は、会場の夢洲で政府の関係閣僚や実施主体の博覧会協会の幹部などがテープにはさみを入れて、開幕を祝いました。

午前9時に入場が始まると、会場では、海外のパビリオンを包み込むような形で建設された1周およそ2キロの世界最大の木造建築、「大屋根リング」の上で、およそ1万人がベートーベンの交響曲第九番を歌い、来場者を迎え入れていました。

初日の13日は、出展する国内外のパビリオンで開館式が行われ、このうち、「Not For Sale」、「売り物ではない」をテーマにしたウクライナのパビリオンは、人の尊厳や民主主義、表現の自由など売り買いすることができないウクライナの価値観を訴える展示内容となっていました。

半年間にわたって開かれる今回の万博では、
▽iPS細胞から作った動くミニ心臓や
▽最新のアンドロイドが展示されているほか、
▽空飛ぶクルマのデモ飛行も行われるなど、社会課題の解決に向けた次世代の技術が披露されます。

また参加する国や地域、国際機関には、1日ずつ「ナショナルデー」が割り当てられ、伝統や文化を紹介しながら来場者などと交流する催しも予定されています。

世界の分断が進む中、国際交流の場としての役割を果たすことができるかが、問われることになります。

一方、13日は14万人以上の来場が見込まれる中、万博会場近くの大阪メトロ・夢洲駅の周辺では、会場に向かう人たちが雨の中で長時間、雨風をしのぐもののない広場で待たされていたほか、会場を後にする人たちも駅構内への誘導を待つために100メートル以上の長い列ができていました。

円滑な運営をめぐる課題が改めて浮き彫りになっています。

“5か国が間に合わず”博覧会協会

博覧会協会の発表によりますと、自前のパビリオンを建てるネパールや、博覧会協会の用意した建物に外装や内装を施して参加するインド、博覧会協会が建設した建物を単独で借りる形で参加するチリベトナム、博覧会協会が建設した建物に複数の国や地域で入る形式のブルネイの、あわせて5か国は、内装工事などの準備が開幕に間に合わないことからまだ開館しないということです。

一方で、チリは12日のNHKの取材に対し、「13日に開館し式も開きます」と説明しています。

また、自前のパビリオンを建てたポーランドトルクメニスタンクウェートは手続きは終えているものの、関係者向けの式典などのため、初日は開館しないということです。

このため、今後、博覧会協会では毎日、翌日の開館情報をホームページで公開することにしています。

<パビリオンは>

「いのち」テーマ 8人のプロデューサーのパビリオンでイベント

大阪・関西万博では、8人のプロデューサーが「いのち」をテーマにそれぞれパビリオンを手がけていて、開幕日の13日、8人が参加してオープニングイベントが開かれました。

はじめに、8つのパビリオンが1つとして成り立っていることを表現するため、万博カラーの赤や青のロープを1本につなぐセレモニーが行われました。

このあと、プロデューサーによるトークセッションが行われ、最先端の技術を駆使した人間に似たロボット「アンドロイド」を展示する大阪大学の石黒浩教授「50年後の未来は今以上にAIやロボットが活躍する社会になっている。私が思い描く未来はパビリオンの中にあるのでぜひ見てほしい」と話していました。

また、会場の中心に設けられた「静けさの森」と一体となるかたちで整備された壁も天井もないパビリオンを手がける慶応大学医学部の宮田裕章教授「テクノロジーが進んで文明の転換点がきている。異なる8つのパビリオンから未来を感じてほしいので、8つすべてに行ってみてほしい」と話していました。

ウクライナのパビリオン 開館式

大阪・関西万博には、紛争のさなかにある国や地域も参加していて、ウクライナのパビリオンの開館式が開かれました。

開館式にはウクライナの政府関係者などが出席し、テティアナ・ベレジュナ 経済副大臣が「私たちのメッセージは短いですがとても明確です。ウクライナが大切にする価値観や考えを知ってもらいたいと思います」とあいさつしました。

パビリオンのテーマは「Not For Sale」「売り物ではない」で、人の尊厳や民主主義、表現の自由など売り買いすることができないウクライナの価値観を訴えています。

パビリオンには、金額のない値札が付いた子どものおもちゃやヘッドランプなど18種類のオブジェが展示されています。

専用の機械でバーコードを読み取ると、
▽ロシアの軍事侵攻で足を失った兵士の話や
▽ウクライナで広がる献血の動き、
▽けが人を助ける医師の取り組みなどの映像を見ることができます。

また、ウクライナ兵士のリュックサックやヘルメットも展示されています。

パビリオンではウクライナから避難してきた人も働いていて、去年の夏に日本に来たイリーナさんは「それぞれの展示品が、ウクライナにとってとても重要な意味や物語を持っています。来場者には戦争以外のウクライナのことも 知ってほしいです」と話しました。

パビリオンを訪れた堺市の男子高校生は、「戦時下のウクライナを影で支える人たちがいることが 印象に残りました。当たり前の生活が当たり前にできる世界になると いいなと思いました」と話しました。

開館式に出席したウクライナの政府関係者は、その後、北欧の5か国が共同で出展するパビリオンを訪れ、展示を見ながら、各国の政府代表と交流しました。

イタリアのパビリオン 開館式

午後には「芸術が生命を再生する」がテーマのイタリアのパビリオンで開館式が行われました。

開館式は、今回の万博のためにイタリアから持ち込まれ、西暦150年ごろの作品とされる大理石の彫刻、「ファルネーゼのアトラス」の前で行われました。

イタリアの政府関係者のほか、共同で出展しているバチカンの関係者が集まり、イタリアの歌手や楽団がパフォーマンスを行い、華々しく開館を祝いました。

また、バチカンから持ち込まれたバロック期のイタリアの画家、カラヴァッジョが描いた「キリストの埋葬」がお披露目されました。

パビリオンは3階建ての木造建築で、貴重な美術品のほか、1920年代にイタリアから日本へ飛行したプロペラ機のレプリカなども展示されています。

イタリアのマリオ・ヴァッターニ政府代表は「きょうは特別な日です。イタリアと日本が協力して準備を進めてきたので、必ず成功させたいです。ここでしか見ることができないものを展示しているので、多くの人に特別な体験をしてもらいたいです」と話していました。

ドイツのパビリオン 開館式

ドイツのパビリオンの開館式が開かれ、セレモニーでは、パビリオンやドイツ政府の関係者などがテープにはさみを入れ、開館を祝いました。

パビリオンの前ではおよそ100人が列を作り、音声案内をするマスコット「サーキュラー」を受け取ったあと、次々とパビリオンに入って行きました。

ドイツのパビリオンのテーマは「循環経済」で、7つの円筒状の木造建築物が連なる特徴的なパビリオンの中では、
▽水や植物などの自然の循環や
▽さまざまな製品の再利用を進めるドイツの取り組みなどを体験しながら学ぶことが出来ます。

4番目に入場した大阪・天王寺区から訪れた60代の女性は「去年ドイツを訪れて、すごく好きになったので、最初に来てみようと思っていました。建物も素敵ですし、訪問できてすごく嬉しいです」と話していました。

中国のパビリオン 開館式

中国のパビリオンの開館式には、BIE=博覧会国際事務局のトップのケルケンツェス事務局長や大阪府の吉村知事、それに中国の政府関係者などが集まりました。

このなかで中国の呉江浩 駐日大使は、「会期中、さまざまなテーマでイベントを行うので、活力のある中国を見てもらい、多くの人に忘れられない体験をしてもらいたい」と述べました。

式では、中国の伝統的な獅子舞のパフォーマンスが披露され、お祝いムードを演出していました。

中国のパビリオンの外観は、伝統的な書道の巻物を広げた形がモチーフになっていて、論語や漢詩などが壁一面に描かれています。

また、内部には、
▽古代文明の国宝級の出土品のレプリカや、
▽中国の無人探査機が世界で初めて採取した月の「裏側」の土壌が展示され、中国の企業が開発したAI=人工知能を搭載した人型のロボットが案内してくれるということです。

<注目の展示は>

自動運転の「EVバス」

大阪・関西万博では未来の乗り物や新たな移動のあり方も紹介されます。

会場内では、自動運転のEVバスが運行され、最新の技術を体験できます。

会場内を走るEVバスのうち、自動運転で運行される一部のバスには、車体の前方と後方にセンサーやカメラが設置されています。

これによって周囲の車や歩行者との距離などを把握しながらカーブを曲がったり、信号で止まったりしていました。

運行主体の大阪メトロ自動運転推進課の東浦岳史さんは、「将来の人口減少や高齢化によるドライバー不足の問題を自動運転で解決していきたい。技術を身近に感じてもらい、社会に広げていく第一歩となってほしい」と話していました。

このほかにも、万博では
空飛ぶクルマのデモ飛行や
▽水素と酸素を使って発電した電力でモーターを動かす「水素燃料電池船」など未来の移動手段を体験できます。

「未来の都市」をテーマ

大阪・関西万博では、人口減少など社会問題の解決に向けた技術やアイデアが展示されています。

万博の実施主体の博覧会協会と、12の企業や団体が出展した「未来の都市」をテーマにしたパビリオンは、人口減少や食糧問題など社会課題を解決するための技術やアイデアが紹介されています。

このうち、未来の交通についての展示では、利用者がひとたび客室に乗り込めば、そのまま車や鉄道、飛行機などに乗り継げるという交通システムが紹介されています。

将来の農業についての展示では畑を耕したり収穫したりと、一台であらゆる農作業をこなす次世代の無人ロボットなどが展示されています。

このほか、施設内にある大型スクリーンでは、未来の子どもたちから「食」や「働き方」についてSOSが出され、来場者が解決のためにできることを選ぶと、それに応じた未来の様子が体験できます。

このパビリオンを訪れた9歳の男の子は「未来の社会はこんな風になるのかなと想像ができてとても楽しかった」と話していました。

また、41歳の男性は「水素電池など新技術について説明を受けれて良かった。未来の生活を考えることはふだんないが、万博を通して考えるきっかけとなってよかった」と話していました。

輪島塗の巨大な地球儀が展示 “復興を後押し”

会場には能登半島地震と豪雨災害からの復興を後押ししようと、輪島塗の巨大な地球儀が展示されています。

会場に展示されているのは、宇宙から見た地球の夜景を輪島塗で表現した「夜の地球Earth at Night」です。

輪島市の依頼を受けた「輪島塗技術保存会」が5年がかりで制作した直径1メートルの地球儀で、ふだんは輪島市の石川県輪島漆芸美術館に展示されていて、去年の能登半島地震では奇跡的に被害を免れました。

国内外から訪れた来場者たちは、地球儀の表面に金粉で描かれた模様をじっくり眺めたり、写真を撮ったりしていました。

また、地球儀とあわせて能登半島地震と豪雨による被害の状況や復興の様子を知ってもらおうと、発災直後の被災地の様子やボランティアの活動状況などをまとめた映像も展示されていました。

地球儀の展示に携わった日本国際博覧会協会運営統括室の河野純也さんは「来場する世界中の方々に被災者への思いを巡らせてもらい、何かできることはないかなど感じてもらえたらうれしい」と話していました。

大阪・関西万博はことし10月13日まで開かれ、地球儀は事前予約は不要で鑑賞できるということです。

「空飛ぶクルマ」のデモ飛行 悪天候のため中止

大阪・関西万博では、開幕日の13日、「空飛ぶクルマ」のデモ飛行が予定されていましたが、悪天候のため中止となりました。

ドローンなどの技術を応用し人や物を乗せる「空飛ぶクルマ」について、ANAホールディングス、SkyDrive、それに丸紅の3つの陣営が大阪・関西万博の期間中、来場者を乗せずに飛ぶデモ飛行を行う予定です。

このうち丸紅は、13日、会場に設けられた離着陸場でデモ飛行を予定していましたが、天候が回復しないため午後6時に中止を発表しました。

また、SkyDriveは、11日の時点で、悪天候が予想されるとして、13日のイベントの中止を決めていました。

3つの陣営では、
▽丸紅が今月から7月にかけてと10月、
▽SkyDriveが7月から8月にかけて、
▽ANAホールディングスが9月から10月にかけて、
それぞれデモ飛行を行う予定です。

<帰りの混雑は>

夢洲駅の周辺 雨中に長蛇の列

万博会場近くの大阪メトロ・夢洲駅の周辺では会場に向かう人たちは雨の中で長時間、雨風をしのぐもののない広場で待たされているほか、会場を後にする人たちも駅構内への誘導を待つために百メートル以上の長い列ができています。

万博会場の東ゲート近くの大阪メトロ・夢洲駅では午後になっても会場へ向かう人が出入り口から次々と出てきましたが、東ゲートの手荷物検査に長い列ができているため、その手前の広場の待機エリアで足止めされ、吹きさらしの場所で傘をさした大勢の人が長時間、待たされていました。

一方、会場を出て帰路につく人たちも駅構内に密集して危険な状況にならないよう地上の出入り口で入場制限が行われたため、雨風が強まる中、駅の外に百メートル以上の長い列ができて、構内への誘導を待つ状況が続いていました。

駅の前では警察官やスタッフらが「止まらないで」などと大声で叫ぶ様子も見られました。

鹿児島県から訪れた40代の女性は「帰りの駅がこれほどの状況とは想像を超えていました。会場を出てから駅に向かうまでの動線がスムーズに流れるようにしっかり対策してもらいたい」と話していました。

退場口の周辺も混雑

万博会場の中でも東ゲートの退場口の周辺では、夢洲駅へと向かおうとする人たちで数百メートルの長い行列が出来ていました。

中には、列を整理する係員がいない行列もあり、雨や風が吹き付ける中、会場の外へ出ようとする人たちから不満の声が上がっていました。

大阪市内から訪れた20代の女性は、「夜のショーも見たかったのですが、館内にあまり入れないし、雨が降って寒いので、早く帰ろうと思います。楽しかったですが、係員もいないので出口をもう少しなんとかしてほしい」と話していました。

和歌山県から訪れた30代の男性は、「パビリオンに入るのも行列が長かったので1時間ほど待って雨も降って濡れて大変でした。入退場でかなり待ったのでもっとスムーズにできるようにしてほしい」と話していました。

<会場や周辺では>

「万博おばあちゃん」も来場

20年前の愛知万博に毎日通い、「万博おばあちゃん」として知られる愛知県瀬戸市の山田外美代さん(76)は、朝早くから万博会場を訪れ、海外のパビリオンなどをさっそくめぐっていました。

山田さんは2005年の「愛知万博」に185日間毎日通った「万博おばあちゃん」として知られています。その後の上海万博やドバイ万博などにも参加して、参加国のスタッフなどと交流を深めてきました。

大阪・関西万博にも毎日通うため、山田さんは、去年12月から会場近くに部屋を借りていて、13日は、午前7時過ぎに家族とともに入場ゲート付近に到着し、開幕まで2時間近く並んで待っていました。

開幕後、会場へと入った山田さんは、招待されていたという中国のパビリオンの開館式に参加したり、今回のために用意した「万博おばあちゃんバッジ」や「シール」を久しぶりに再会した参加国などのスタッフに配ったりして旧交を温めていました。

山田さんは、「シールなどをプレゼントすることで交流の幅が広がり、感謝されたり、『うれしい』って言ってもらえたりすることに生きがいを感じています。万博は毎日行くと深掘りできるので今回も毎日行きたいです」と話していました。

開幕初日に訪れた人たちからはさまざまな声

名古屋市から訪れた26歳の会社員の男性
「夢洲駅から4駅離れた弁天町駅で地下鉄に乗り換える際、混雑で30分待った上、夢洲駅に着いてからも入場するまでに2時間近くかかりました。会場は雨で寒いですが、パビリオンにいた案内役の外国人の方が熱心で、熱い万博を楽しんでいます」

大阪・高槻市から家族で訪れた30代の女性
「大屋根リングの下でも雨が入ってきます。子どもの飲み物を買おうと思いましたが、自動販売機にホットドリンクがほとんどなく、とても寒いです。よかった点は今のところないです」

大阪・吹田市から家族で訪れた小学6年生の女の子
「アメリカのパビリオンのロケットが迫力があって楽しかったです。ただ、会場が広くとても疲れたので、パビリオンの行列の近くにベンチなどがあれば助かります」

兵庫県から訪れた70歳の女性
「パビリオンの当日の予約がなかなかとれず、待ち時間も長いので、私の年齢ではきついです。『並ばない万博』と言われていましたが、どこもかしこも並んでいました」

「煙が出ている」通報で一時、騒然 火や煙は確認されず

13日午後3時半前、大阪・関西万博の会場内で「煙が出ている」と通報があり、消防車や救急車など15台が駆けつける騒ぎとなりました。

警察と消防によりますと、通報があったのは万博の関連グッズなどを販売しているオフィシャルストアのそばでしたが、火や煙は確認されなかったということです。

通報の10分余り前、オフィシャルストアの近くにあるフランス館で煙のようなものを使った催しが行われていたということで、消防はこれを見た人が火事と勘違いしたのではないかとしています。

通報があった現場には警察官や消防隊員が集まり、一時、騒然となりました。

「ブルーインパルス」展示飛行は天候悪化のため中止

大阪・関西万博の開幕で航空自衛隊の「ブルーインパルス」は会場の上空などで展示飛行を行う予定でしたが、博覧会協会は天候悪化のため中止すると発表しました。

専門部隊「会場警察隊」が約250人態勢で警戒

会場では、およそ250人態勢の専門部隊「会場警察隊」の警察官が警戒に当たっていました。

午前8時ごろ、堀本和貴 副隊長から指示を受けた警察官たちは配置場所や警戒すべきポイントを確認したあと、現場に向かいました。

午前9時に入場が始まり、警察官は歩いたり立ち止まったりして、不審な人物がいないかや不審物が置かれていないかなどを確認しながら警戒に当たっていました。

この中で、「不審物が見つかった」という情報が無線で入ったため、現場に駆けつけると、ベンチの上に半透明の袋が見つかり、中身を確認していました。

その結果、袋の中に入っていたのはカーテンで不審物ではなかったため、「拾得物」として博覧会協会に届け出ていました。

警察によりますと、午前11時の時点で大きなトラブルは起きていないということです。

会場警察隊は、会場やその周辺に24時間常駐し、民間の警備員とも連携しながら、警備やパトロール、事件・事故の対応、それに海外から来日する要人の警護などにあたることになっています。

駅でシャトルバスを待つ人は…

JR桜島駅から万博会場へと向かうシャトルバスは、混雑のため、午前10時台までは予約がないとバスに乗車出来なくなっています。

予約をしていない人は、午前11時台のバスまで待たないといけない状況です。

大阪・豊中市から訪れた70代の男性は、「予約なしでも乗れると思っていたので、困っています。もともとは午前9時ごろに入場したいと思っていましたが、10時になった今でもバスを待っている状況です。お昼のブルーインパルスの飛行がみたいので、タクシーに乗るかどうか迷っています」と話していました。

万博の会場にバスで向かおうとしていた女性は、「予約が必要と知らなかったので驚いています。初日だし早く行きたいです。タクシーか電車でいくことにします」と話していました。

市民団体が開催の中止を呼びかけ

万博の会場の近くでは、今月6日に検出されたメタンガスなどへの安全対策が不十分だとして、市民団体が開催の中止を呼びかけました。

「夢洲カジノを止める大阪府民の会」は、開幕日の13日、万博会場近くの「夢舞大橋」付近に、およそ30人が集まりました。

この市民団体は、人工島の夢洲について、ゴミを焼却した灰などで埋め立てられているため危険だとして、万博の開催や会場の隣に予定されているカジノを含むIR=統合型リゾート施設の建設計画の中止を求めています。

今月6日には、開幕に先立って会場の地下空間で、基準値を上回るメタンガスが検出されたことも、安全対策が不十分で問題だとしていて、横断幕を持ったメンバーらは、会場に向かうバスなどに向かって、開催の中止を呼びかけていました。

グループの山川義保 事務局長は、「市民の皆さんが安全に万博を楽しめるか不安を抱えたまま開幕日を迎えてしまった。期間中も危険性を訴え続けたいです」と話していました。

大阪のシンボル 通天閣がある「新世界」では

万博の開催について、大阪のシンボル、通天閣がある「新世界」で、地元の人や訪れた観光客に聞きました。

大阪・浪速区にある「新世界」の周辺は、1903年に「内国勧業博覧会」が開かれたことで知られ、通天閣の展望台の窓には、万博の機運を高めようと、ラッピングが施されています。

13日は、天候の悪化で中止となりましたが、「ブルーインパルス」の飛行が予定されていたこともあり、お昼ごろは、地元の人たちや大勢の観光客でにぎわっていました。

家族連れで訪れた近所に住む40代の男性は、「前回以来、久々の大阪での万博開催で、客が少なくなった頃にぜひ行ってみたいと思っています。子どもたちも来月、学校の行事で行く予定で、とても楽しみにしています」と話しています。

また、東京から友人らとともに観光で訪れた20代の男性は、「今回の旅行は、『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』に行くのが目的で、万博の開催日は最近まで知りませんでした。ただ、関連した御堂筋のイルミネーションなどを見て、大阪ではかなり盛り上がっているように感じました。評判がよかったら会場に行ってみたいです」と話していました。

オーストラリアから訪れた70代の女性は「万博が大阪で開催されていることはツアーのバスガイドが聞いて知りましたが、残念ながら14日、帰国するので、会場に行く時間がありません。とても関心があったのでもし、事前に知っていれば、行ってみたかった」と話していました。

<開幕直後の様子は>

大屋根リングで「1万人の第九」

開幕直後には万博のシンボル「大屋根リング」の上などで1万人がベートーベンの「交響曲第九番」を合唱し、「歓喜の歌」で来場者を迎え入れました。

大阪・関西万博の開幕を祝おうと催された「1万人の第九」は国内や中国、韓国などの6歳から93歳までの1万263人が参加しました。

1周およそ2キロの世界最大の木造建築「大屋根リング」の上と会場南側のウォータープラザに赤や青のレインコート姿で整列しました。

そして開場時間の午前9時に合唱が始まり、ベートーベンの交響曲第九番第4楽章の「歓喜の歌」を迫力ある歌声で会場全体に響かせました。

指揮者は世界を舞台に活躍している佐渡裕さんで、「屋外で、歌う人たちが何百メートルも離れている中、1万人で歌うのはすごい光景で、ベートーベンも驚いていると思います。とてもうまくいき、すごく誇りに思います」と話していました。

家族と参加した40代の女性は「いろんな方向から歌声が聞こえてきて、すごい迫力でとても感動しました。この1万人に入れてもらってよかったです」と話していました。

西ゲートでは来場者が続々と会場入り

会場の入場ゲートのうち、西ゲートでは午前9時になると来場者が続々と会場入りしました。

午前8時ごろは降っていた雨も開幕の時間帯にはやんでいて、さっそく訪れた人たちは笑顔で目当てのパビリオンなどに向かっていました。

京都市から親子3人で訪れた女性は「きょうは何かのパビリオンが目当てというより、とにかく雰囲気を楽しみたいです。子どもはまだ小さいので写真をたくさん撮って印象に残るようにしたいです」と話していました。

東ゲート前 広場には海外パビリオンの担当者たちが

地下鉄の夢洲駅に近い「東ゲート」では、午前9時になると多くの来場者が続々と入場しました。

ゲート前の広場には、海外パビリオンの担当者たちが並び、手を振って来場者を迎えていました。

来場者は入場すると、公式キャラクターのミャクミャクの像の前で写真を撮るなどして、それぞれ目当てのパビリオンに向かいました。

ミャクミャクのコスプレをした広島県の40代の男性は「昨夜から並んでいました。全部楽しみなのでできるだけ多くのパビリオンを回りたいです」と話していました。

兵庫県西宮市から家族で訪れた小学1年生の男の子は「すごく楽しいです。大屋根リングのところに行ってみたいです」と話していました。

大阪・泉大津市から訪れた60代の男性は「1970年に開かれた大阪万博にも来ましたが、こんな雰囲気だったなと懐かしい気持ちになりました。海外のパビリオンなどを見て回りたいです」と話していました。

<開幕前の様子は>

式典で開幕宣言

午前8時半からは大阪・関西万博の開幕を祝う式典が行われ、伊東万博担当大臣や博覧会協会のトップを務める経団連の十倉会長など、関係者が出席しました。

式典では、十倉会長が「大阪・関西万博ただいま開幕します」と述べ、開幕を宣言しました。

その後、関係者らがテープにはさみを入れて万博の開幕を祝いました。

夢洲駅は混雑

会場近くの夢洲駅では、来場者を誘導するアナウンスが流れる中、朝から大勢の人が改札をひっきりなしに通過しエスカレーターや階段で会場へ向かっていました。

3列のエスカレーターには多くの人が乗り込み、改札付近のコンビニエンスストアにも列が出来ていて、駅は混雑していました。

「西ゲート」にバスなど到着

会場の入場ゲートのうち、バスなどの乗降場所となっている西ゲートでは、午前8時ごろから駅から出発したバスやタクシーが次々と到着しました。

降りた人たちは、雨の中、傘を差しながら長い列を作っていました。

一方、会場付近は雨で地面が滑りやすくなっていて、担当者が、「会場内は大変滑りやすくなっていますので、走らないで下さい」と繰り返し呼びかけていました。

大阪・八尾市から親子で来たという男性は「バスは音も静かで乗り心地もよかったです。妻と娘が『1万人の第九』に参加するので来ましたが、パビリオンを回るのも楽しみです」と話していました。

「東ゲート」では早朝から列

会場のゲートの1つ「東ゲート」では開幕を待ちきれない万博ファンたちが雨の中、早朝から列を作りました。

京都から来た会社員の女性は「iPS細胞のミニ心臓のパビリオンを予約できているので、まずはそこを楽しみたいです」と話していました。

また、万博のロゴのぬいぐるみを身につけた茨城県の女性は「何か月も前から作っている人に敬意を表したいしパスポートのいらない世界旅行のようなものなので貪欲に全部のパビリオンを見たいです」と話していました。