空港の地上業務、JALグループが外国人積極登用 人手不足が深刻

小林誠一
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 日本航空(JAL)グループが、航空機の誘導など空港で地上業務を担う「グランドハンドリング(グラハン)」に、外国人を積極登用している。グラハンは、航空業界の中でも人手不足が特に深刻。JALグループでは、成田空港千葉県)だけで、約80人の外国籍社員が活躍している。

 1月28日、成田空港の第2旅客ターミナル駐機場ミャンマーのピョーティハトーさん(28)と、フィジーのキャロライン・デラマルムさん(25)が、カートなどの牽引(けんいん)車でS字を後退する練習を繰り返していた。

 2人は、グラハン業務を担う「JALグランドサービス(JGS)」の社員で、入社2年目だ。

 JALグループでは、グラハンの知識や技術を学ぶことを目的とした社内コンテストを2013年から開いている。2人はこのコンテストに初めて創設された「特定技能社員枠」に、成田代表として選ばれたのだ。

 ピョーティハトーさんは「アニメを見て日本に興味を持った。カート牽引には自信がある」、キャロラインさんは「仕事は楽しい。あまり練習していないので、緊張はしている」と話した。2人とも「日本で働き続けたい」と意欲的だが、「日本語は難しい」と苦笑した。

 グラハンとは、主に空港で到着と出発に伴う地上作業の総称。代表的なものに、航空機の貨物室への手荷物・貨物の搭降載、航空機を駐機場に誘導する「マーシャリング」、機体を車で押してバックさせる「プッシュバック」がある。

 特定技能制度は、人材確保が困難な分野で、即戦力の外国人材を労働者として受け入れる在留資格として、2019年に創設された。グラハンなどで人手不足が深刻な航空も23年に加わった。

 JGSによると、同社には全国で約5千人のグラハン社員がおり、うち約200人が特定技能で受け入れた外国籍の社員。成田では約1千人のグラハン社員のうち、約80人が特定技能の外国籍だ。

 航空が特定技能に追加された直後から採用を始め、育成に力を入れる。住まいも個室と相部屋を用意し、個人の希望をできるだけ聞くという。

 同社LCCサービス事業部の對馬陽介課長は「特定技能制度ができ、日本人と同じ労働条件で働けることが、魅力になっている。社会貢献としても外国籍の活用には力を入れていきたい」と話す。

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