宿泊税100~3千円案 那須町が宿泊料金に応じた「段階的定額制」
栃木県那須町は19日、検討してきた「宿泊税」の制度概要案を明らかにした。宿泊客に課す税は、宿泊料金に応じて段階的に定める額にする「段階的定額制」を導入する。修学旅行や小学生以下は免除する。徴収した税は観光地の道路整備や周遊バスの充実など、観光振興にいかす。2026年10月の開始をめざし、実現すれば県内では初となる。
宿泊税は自治体が条例で定め、総務相の同意をえて独自に課税する地方税。町の議員全員協議会で案が示された。課税額は宿泊者1人1泊につき宿泊料に応じて六つの区分を設けた。宿泊料が1万円未満なら100円、1万~2万円未満なら300円、2万~3万円未満は500円、3万~5万円未満は800円、5万~10万円未満は1500円。10万円以上は3千円となる。宿泊料金に上乗せされて徴収され、年間で3億円を見込む。
税は観光地整備のほかに、観光人材の育成・確保や、災害時の対応基金の創設にも使われる。また、実際に税を徴収する宿泊事業者に対する支援にも使う。徴収の「奨励金」として徴収した税の3%を供与し、事業者によるレジシステムの改修や導入に補助もする。
宿泊税を巡っては、町観光協会が主導して昨年夏に要望書を町に提出した経緯がある。町の案は、課税方法は宿泊料の2%の「定率制」から段階的定額制に改められたが、要望書におおよそ沿った内容となった。
町は今後、条例案をつくって町民らから意見を募るパブリックコメントを2月末から実施。6月の町議会に提案する。平山幸宏町長は「行政も事業者も一体となって、宿泊客に那須に来て良かったと思ってもらえる観光地をめざしたい」と話した。