災害時は運んで避難所に「コンテナホテル」黒部に開業 市と協定結ぶ

佐藤美千代
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 災害時、移動させて避難所などに転用できるコンテナを使ったホテルが17日、富山県黒部市にオープンする。市は万一の事態に備え、客室の提供を受けるための協定をホテルの運営会社と結んだ。

 「HOTEL R9 The Yard(ホテルアールナインザヤード) 黒部」は、同市堀切の「道の駅KOKOくろべ」隣に開業する。運営会社のデベロップ(千葉県市川市)が展開するシリーズの80店舗目で、北陸への進出は初めて。

 建築用コンテナを使った37の客室は、13平方メートルのダブルかツイン。敷地内に、1室ずつ独立して並べられている。タイヤを備えたシャシーの上に載っており、普段はジャッキで地面に固定されている。移動する時は、上下水道やプロパンガスの配管などを外し、牽引(けんいん)する。

 同社はもともとコンテナのメーカーで、東日本大震災の被災地に備蓄倉庫などを建設した。その際、大勢が暮らす避難所の状況を知り、プライバシーが守られる空間を提供しようと、移動可能なコンテナホテルを事業化した。

 これまで約140の自治体と災害時の協定を結ぶ。災害時の例はまだないが、新型コロナの療養用などで7回の出動実績があるという。

 9日、黒部市役所で協定締結式があった。武隈義一市長は、能登半島地震後、石川県から100人近くが市内に避難したことに触れ、「体育館型の避難所に比べ、コンテナなら良好な環境で生活していただける」。デベロップの岡村健史代表は「1400キロを超えて50台運んだ経験もある。災害があった時、街の皆さんの役に立つよう努力します」と述べた。(佐藤美千代)

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