国交労組が声明 「1人当たりの業務負担著しく増加」 羽田事故受け

日航機・海保機事故

矢島大輔
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 東京・羽田空港の滑走路で日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機同士が衝突、炎上し5人が死亡した事故を受け、国土交通労働組合は6日、安全体制を強化するために「早急に航空管制官の大幅な増員を実現するよう強く求める」との声明を出した。

 声明は、羽田空港などを発着する航空機の数が急増している一方で、全国の航空管制官の人数が2千人前後から増えていないことから、「1人当たりの業務負担が著しく増加している」と指摘した。

 事故を受け、国交省が、滑走路への誤進入を常時レーダー監視する人員を配置することにしたが、増員はなく役割分担で対応する点について「管制官の疲労管理の側面から問題視している」とした。

 また、刑事責任を追及することによって事故当事者が黙秘権を行使すれば、真実が明らかにされないとして、同労組の山崎正人・中央執行委員長は「再発防止に寄与しない結果となり、悲惨な事故が繰り返されかねない」と懸念を示した。

 ほかにも、SNSや一部の報道で臆測による記事が見受けられ、責任の所在につながるような論調が航空従事者に心理的負担を強いているとした。

 同日、国交省の航空局長に対し、メンタルケアの対象を羽田空港職員に限らず、全国の空港職員へ拡充すること▽常時レーダー監視する人員を現場に応じて新規配置すること▽事故対策検討委員会による現場職員や同労組への意見聴取をする機会を設けること、などを申し入れた。(矢島大輔)

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    首藤若菜
    (立教大学教授=労働経済学)
    2024年2月6日21時30分 投稿
    【視点】

    大きな事故の背後に労働問題が潜んでいることは珍しくありません。例えば、多数の死者を出したJR福知山線脱線事故の一要因には厳しい人事管理(日勤教育)があったと言われ、軽井沢スキーバス転落事故では労務管理の杜撰さが指摘されています。羽田空港の痛

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