空港業務担う業者の労働組合 来月から時間外労働せずと通告

新型コロナで減った航空需要が戻るなか、航空機の地上での誘導やチェックインカウンターでの受け付けを担うスイスポートジャパンの労働組合は、需要回復に人材確保が追いついておらず、長時間労働が改善されないとして、会社に対し、来月から一切の時間外労働を行わないと通告しました。

会社は「組合と協議を続けて改善し、回避したい」とコメントしています。

通告を行ったのは大阪 泉佐野市にあるスイスポートジャパンの労働組合で、管理職を除く社員およそ1400人のうち9割が加入しています。

スイスポートジャパンはグランドハンドリングの国内大手4社のうちの1社で、外国の航空会社の便を中心に、羽田や成田など6つの空港で航空機の地上での誘導や荷物の積み降ろし、チェックインカウンターでの受け付けを担っています。

労働組合によりますと、新型コロナで減った航空需要の回復に伴って社員数は増えているものの、管理職を除いた社員のおよそ6割が1年未満の新人のため、一部の中堅社員に業務が集中し、長時間労働が常態化しているということです。

このため、会社に申し入れを行ってきましたが改善がみられないとして、労働組合は15日、会社に対し、時間外労働に関する協定を破棄し、来月から一切の時間外労働を行わないと通告しました。

労働組合の新城正樹組合長は「業務は増加の一途をたどっている。過労死ラインを超える労働を数か月以上続けた社員もいて苦渋の結論に至った」と話しています。

また、吉田一成社長は「こういった状態にまでなり申し訳ない。今後も組合と協議を続けて改善し、なんとか回避したい」とコメントしています。

グランドハンドリングをめぐっては業界全体で人材確保が追いついておらず、今回の動きについて国土交通省の担当者は、運航への影響が懸念される事態で、速やかに状況を把握したいとしています。