宿泊税導入議論 仙台市が3年8カ月ぶりに再開 宿泊業者に慎重論

平川仁
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 【宮城】「宿泊税」の導入をめぐる議論が8日、仙台市で再開した。2020年に議論は始まっていたものの、コロナ禍で休止され、再開は約3年8カ月ぶりとなる。観光振興策に使える財源を安定的に確保するのが目的だが、宿泊業者からは慎重論が上がった。

 市が8日夜、観光業の活性化を考える「仙台市交流人口拡大推進検討会議」を開いた。会議は20年1月につくられ、宿泊業者や学識経験者ら計14人が委員を務める。同年3月までに4回開かれたが、コロナ禍で休止し、今回の開催が5回目だった。

 郡和子市長は冒頭のあいさつで、観光訪問先に選ばれるための「都市間競争が激化している」との見方を示した上で、誘客のための「施策、財源の明確化」を会議に求めた。

 市によると、19年に約624万人の宿泊観光客がいたが、コロナ禍で20年には357万人まで減少。国内各地で、訪日外国人客インバウンド)も回復してきているが、委員からは、仙台は観光客数の戻りが遅いのではないかという意見や、インバウンドの恩恵を受けられていない温泉地があるとの意見が上がった。

 今後の議論が予想される宿泊税は、自治体が特定の目的のために課税する法定外目的税。金沢市や京都市などは、ホテルや旅館などの宿泊施設に泊まった人に、宿泊料金に応じて1泊200~1千円を課税。宿泊業者を通じて市に申告・納入させ、観光振興の財源としている。

 仙台市では20年2月の会議で、観光振興の財源を「一定規模以上で安定的かつ継続的に確保する必要がある」として、「宿泊税が適当」とする方向性が既に示されている。

 8日の会議では、宿泊業者から「宿泊税ありきの議論なのか」「『観光税』として色々なところから取ればいい」などと慎重論が続出した。金子雅・市文化観光局長は、「宿泊税ありきではない」とした上で、「財源なしで、(施策は)絵に描いた餅というわけにはいかない。財源をどうするかの議論は次回以降を考えている」と応じた。

 次回の会議は12月に開かれる予定だ。(平川仁)

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