月223時間の残業も…客戻る飛驒地方、労基署が旅館業界を重点調査
高山労働基準監督署(岐阜県高山市)が今年4~7月、人手不足で長時間労働が疑われる旅館業に重点的な監督指導に入ったところ、19事業所のうち17事業所で労働基準法などの法令違反が見つかり、是正を勧告した。うち4事業所では「過労死ライン」を上回る1カ月100時間を超える時間外労働があった。
新型コロナ対策が大幅に緩和され旅行需要が回復に向かう中、管内(高山、下呂、飛驒の3市と白川村)の旅館やホテルを調べた。発表によると、労働時間に関する違反は13事業所であり、労使協定(36協定)を結ばずに時間外労働させたり、協定の上限を超えて働かせたりするケースが目立った。フロント業務に従事する男性が月に223時間の残業をしていたホテルもあった。
定額残業手当を超える分の時間外手当が支払われないなど、割増賃金をめぐる違反も10事業所で見つかった。労働条件を書いた書面が交付されていないケースもあった。
同期間に建設業、貨物運送業など37事業所にも監督指導に入ったが、こちらは月100時間超の時間外労働は1事業所のみだった。「旅館業界の人手不足が長時間労働に拍車をかけている」と労基署の担当者。業務の効率化などで労働時間削減に取り組むよう業界団体にも要請する。(荻野好弘)