フランス政府 各地の暴動 観光への影響「小さい」と強調

フランス政府は、17歳の少年が警察官に銃で撃たれて死亡した事件をきっかけに各地で暴動が広がったことについて、観光への影響は小さいと強調し本格的な夏の観光シーズンを前にイメージの回復に力を入れる姿勢を示しました。

フランスではパリ郊外のナンテールで先月27日、17歳の少年が、検問中の警察官に銃で撃たれて死亡したことをきっかけに各地で警察への抗議活動が暴動へと発展しました。

フランス政府は6日、ホテルや飲食店など観光業界の代表らを集めた会議を開き、暴動が与えた影響について意見を交わしました。

会議を受けたフランス政府の発表によりますと現時点で、ホテルの宿泊予約のキャンセルや観光客数の大幅な減少にはつながっておらず「影響は小さい」ということです。

ただ「暴動がフランスのイメージに与える影響を軽視してはならない」として本格的な夏の観光シーズンを前にイメージの回復に力を入れる姿勢を示しました。

今回の暴動を巡って地元メディアは、民間企業が受けた被害額について10億ユーロ以上、日本円にして1570億円あまりに上ると伝えています。

マクロン大統領は、今月4日、暴動のピークは過ぎたとする認識を示しましたが、各地で放火などが散発的に続くなど、事態が完全に収まるまでにはまだ時間がかかるとみられます。

ホテルの経営者からは治安回復などの対策求める声

夏の本格的な観光シーズンを前に、ホテルの経営者からは、治安の回復などの対策を行政側に求める声が聞かれました。

パリ市内で母親と一緒に2軒のホテルを経営するカミーユ・シュビヤールさんです。

経営するホテルはいずれもパリを代表する観光名所のエッフェル塔が見渡せる広場まで歩いて5分ほどの場所にあり、アメリカやアジアからの観光客の利用が多いということです。

シュビヤールさんは「数件のキャンセルがありましたが、すぐに予約は回復しました。お客さんに安心してもらうため、SNSを使って、状況をありのままに伝えました。パリ市にも安全の維持に力を入れてほしいです」と話していました。

一方、観光客からは、不安の声も聞かれました。

カナダからの女性は、フランスを訪れる前にギリシャに滞在していたということで「ギリシャから出発するとき、本当に行くかどうか悩みました。滞在するホテルの前の道路でも抗議活動があったと知り、少し不安でした」と話していました。

また、オーストラリアから訪れている女性は「すべての観光名所で警察官たちが大きな銃を持って歩いていて、警察の存在が目立っていると感じました」と話していました。