米子〜ソウル定期便が運航再開の期待と不安

米子空港とソウルを結ぶ定期便が、ことし10月下旬から運航を再開することが決まったことを受けて、新型コロナ感染拡大前に韓国から多くの観光客を受け入れていた伯耆町のホテルは、本格的なインバウンドの復活に期待を高めています。

米子空港と韓国・ソウルを結ぶ定期便をめぐっては、日韓関係の悪化の影響で2019年に運休したあと、新型コロナの感染拡大のため再開できないままとなっていましたが、7月、便を運航している「エアソウル」は、ことし10月25日から週3往復で運航を再開することを表明しました。
大山の麓に建つ伯耆町のリゾートホテルでは、定期便が就航していた2019年以前には、韓国からの観光客が、多いときで年間6000人ほど宿泊していました。
このホテルでは、去年2月に18の客室を改装し、大山や日本海が望める「プライムゲストルーム」を整備するなど準備を進めていて、本格的なインバウンドの復活に期待を高めています。
また外国人観光客の数が急速に回復している東京などの都市圏では、個人の観光客が増えているということです。
こうしたことから、これまでは韓国からの観光客を主にツアーで受け入れてきたこのホテルでも従業員への語学研修を行ったり、多言語に対応した翻訳機の導入を検討したりするなど、受け入れに向けた準備を加速させたいとしています。
ロイヤルホテル大山の平井航介総支配人は「山陰ではインバウンドがまだ回復していないなかで、定期便は大きなインパクトがあり、うれしく感じています。もう期間が限られているので、海外のお客様を想定して、従業員一人一人の接客のスキルを上げていきたい」と話していました。

【タクシー業界人手不足を懸念】
中国地方最高峰の大山をはじめとした、県西部の観光地を周遊できるプランを企画しているタクシー業界からは、定期便の再開で個人旅行の外国人観光客が増えることに期待を寄せる一方、コロナ禍で深刻化した人手不足への対応が課題だという声が上がっています。
鳥取県西部にあるタクシー会社などは、行政と連携して、個人の旅行客向けに中国地方最高峰の大山や、境港市の水木しげるロードなどの観光地を3時間5000円で周遊するツアーを販売しています。
このツアーを利用するのはほとんどが国内の観光客で、ことしに入り運航した米子空港を発着するチャーター便や、境港の国際クルーズ船で訪れた外国人観光客の多くは、バスツアーを利用しています。
こうしたなか米子市のタクシー会社は、定期便の再開によって個人旅行の外国人観光客が増加し、タクシーを利用したツアーの需要が増えることに期待しています。
一方この会社では、新型コロナの影響で乗客者数が落ち込んだことから、コロナ禍前におよそ60人いたドライバーは一時、40人にまで減少したということで、観光需要が回復してもどのように人手を確保するかが課題だと話しています。
鳥取県ハイヤータクシー協会西部支部の支部長を務める「皆生タクシー」の杉本真吾社長は「定期便の再開で地方に活気がもたらされ、個人客によるタクシー利用が増えることに期待が高まる一方、経済が回復してほかの業種と人手の争奪戦になっているので、お客様の需要に応えられるようなんとか頑張っていきたい」と話していました。