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近畿日本ツーリスト、最大16億円の過大請求 受託のワクチン接種業務で

2023年5月9日
編集部:長谷川 貴人

2023年5月9日(火)配信

会見で近畿日本ツーリストの髙浦雅彦社長(中央)らが謝罪した

 近畿日本ツーリスト(髙浦雅彦社長)は5月2日(火)、自治体から委託を受けている新型コロナウイルスのワクチン接種関連の業務費を過大請求していた問題で、最大で約16億円に上る不正の疑いがあると明らかにした。同日に開いた会見には髙浦社長と担当部長らが出席。髙浦社長は一連の問題について謝罪し、「二度とこのような事態を発生させることがないよう再発防止策を構築し、信頼回復に努めていく」と話し、自治体などへの謝罪と説明を行ったうえで、過大請求額を速やかに返納すると説明した。

 同社は、4月12日(水)に公表した西日本支社関西法人MICE支店による大阪府東大阪市への過大請求事案の判明を受け、過去3年間の同社取り扱い受託事業全件に緊急社内点検を実施している。点検対象は、2020年4月1日(水)~23年3月31日(金)の期間に取り扱った762自治体などの受託事業2924件。

髙浦社長が過大請求に関する調査進捗の報告と今後について説明した

 社内点検により、担当者が受託数と差異があることを認識していたものは、東大阪市や静岡県焼津市など全国16自治体で、過大請求額は計約5億8000万円とわかった。このうち、関西法人MICE支店が計約4億円、静岡支店が計約6900万円、その他9自治体が計1億1000万円。金額は現時点での同社算出のものであり、今後、自治体などに確認したうえで確定させるとした。

 加えて、事務処理における誤謬、証憑などの不備により、同社が一旦過大請求と分類したものが約70自治体に、最大で計約10億円との見積もりを算出した。このうち7割が、手配したスタッフの濃厚接触者認定やコロナ罹患などで再委託先の要員不足が生じた際、同社社員が代わりに従事したもの。これを合理的に証明する証憑が不足しているため、過大請求と分類するに至った。

原因は法律知識の欠如、営業目標の達成意識で

 原因としては、新型コロナ対策の受託事業契約に対する法律的知識の欠如や、コロナ禍により旅行事業が厳しいなかで営業目標を達成したいとの思いが強く働いていたことを挙げた。原因の調査を通じて、髙浦社長は「通常の受注型の旅行と同じような感覚でBPO事業、受託事業を考えていたところに一番の原因がある」と説明した。

 今後の対応について、親会社のKNT-CTホールディングスは4月17日(月)付けで、同社の独立社外取締役および外部の専門家による「調査委員会」を設置。受託事業などにおける過大請求の事実認定や点検プロセスの妥当性の評価、発生原因の分析と再発防止策の提言準備を進めるとした。

 この調査に、近畿日本ツーリストは全面的に協力するとともに、明らかになった事実は判明次第速やかに公表し、再発防止策および管理体制の改善策に反映。関係者の処分についても、同調査を踏まえ、社内規定に則り厳正に行うと答えた。

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