近鉄GHD、発表済みの社長人事を撤回 コロナ業務の過大請求問題で

松岡大将
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 近鉄グループホールディングス(GHD)は25日、公表済みのトップ人事案を変更すると発表した。新社長に就任予定だった米田昭正氏(63)が、現職のKNT―CTHD社長に留任する。子会社の近畿日本ツーリスト(KNT)が、新型コロナワクチン接種関連の業務で自治体に過大請求していた問題の解決に専念するという。

 近鉄GHDの新社長には、会長になる予定だった近畿日本鉄道社長の都司尚(つじたかし)氏(65)が就く。会長職を退き相談役になる予定だった小林哲也氏(79)が会長にとどまる。米田氏は近鉄GHDの非常勤の取締役を兼任する。新体制は6月の株主総会後に発足する。

 近鉄GHDは3月24日に、米田氏の新社長内定などを発表した。ところが4月以降、KNTが大阪府東大阪市など3自治体に計約3億6千万円を過大請求していたことが発覚。KNT―CTHDは観光庁から指導を受けた。

 米田氏は発覚前の3月の会見でこれらの業務について「案内や苦情対応などできわめて自治体からの評価が高く、旅行業の別の価値が新たにわかった」と実績を強調していた。

 公表した人事案が変わるのは異例だ。近鉄GHDは米田氏について「原因究明や再発防止の対策を行うべく責務を果たす」などとするコメントを発表した。(松岡大将)

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