関西+中四国=インバウンド黄金ルート 万博を控え政投銀が観光提言

松田史朗
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 中四国の観光は、関西と組めば訪日外国人客インバウンド)を呼び込むゴールデンルートに成長する――。日本政策投資銀行(政投銀)がこのような提言をまとめた。関西で万博、瀬戸内で国際芸術祭が開かれる2025年は特に連携の効果が期待できるとした。

 提言はインバウンドや観光業者への19~22年の聴取結果などを踏まえ、作成した。中四国は独自の景観や自然、関西は歴史・文化や都会観光といった具合に色分けされており、「パイを奪い合わない」と指摘した。

 実際、旅行口コミサイトの分析で、中国地方の人気スポットは広島県原爆ドームや宮島、島根県出雲大社岡山県の倉敷美観地区山口県の角島大橋、鳥取県鳥取砂丘などが並ぶ。四国は香川県の栗林公園、愛媛県松山城徳島県の大塚国際美術館、高知県の高知城など。その地域にしかない景観や自然、芸術への関心が高い。

 一方、関西では寺社や城などの歴史遺産や大阪・道頓堀の町歩きなどが好評だ。中四国と関西はライバル関係ではなく、「相互補完的」と提言した。

 また、中四国の大半は大阪から直線距離で400キロ圏内。イタリアのローマとシチリア島、フランスのパリとコートダジュールの距離よりも近い。「多彩な2エリアの近接は世界の観光市場でも珍しく、インバウンド憧れの広域エリアになる潜在能力がある」とした。

 折しも25年、関西では来場者約2800万人を予想する大阪・関西万博が、瀬戸内では「瀬戸内国際芸術祭」が開かれる。

 両イベントについて提言は「広域周遊に追い風」としたうえで、「関西空港から入国し、関西のみを周遊するインバウンドの1割が瀬戸内に周遊すれば、約206億円の消費増加効果が見込める」とした。

 担当者は「関西などを起点にしたリピート訪問の拡大で、相乗効果が期待できる。両エリアが互いにウィンウィンの関係を作れれば、観光業全体の発展につながる」と話す。

 一方、提言は中四国の情報発信の弱さや、観光人材の少なさを指摘。関西から中四国への周遊を促すために旅行前・旅行中・旅行後の3段階でSNSなどを使った適切なプロモーションの必要性を説いた。(松田史朗)

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