2023年3月時点の東京23区のホテル展開状況をお伝えする。
東京23区のホテル展開分布
メトロエンジンリサーチによると、東京23区の新規開業ホテルの分布は中央区・港区・台東区に集中している。
新規開業ホテルが集中している中央区の分布。
新規開業ホテルが集中している港区の分布。
新規開業ホテルが集中している台東区の分布。
東京23区の新規開業施設は中央区・港区・台東区に集中
中央区・港区・台東区に約56%が集中
2023年〜2040年にかけて東京23区の新規開業施設は77施設・15,769室が予定されているが、約56%の45施設・8,801室が中央区・港区・台東区に集中している。銀座、日本橋といった繁華街を擁する中央区、東京のランドマークである東京タワーが位置する港区、浅草など東京の中でも日本情緒が味わえる地区として人気の台東区は、2022年12月時点でもトップ3にランクインしており、引き続き人気のエリアであることが伺える。
順位 |
東京23区 | 部屋数(推定) | 割合 |
1位 |
中央区 | 3,936室 | 25.0% |
2位 |
港区 | 2,706室 | 17.2% |
3位 |
台東区 | 2,159室 | 13.7% |
4位 |
千代田区 | 1,453室 | 9.2% |
5位 |
渋谷区 | 1,168室 | 7.4% |
6位 |
新宿区 | 1,020室 | 6.5% |
7位 |
大田区 | 920室 | 5.8% |
8位 |
北区 | 854室 | 5.4% |
9位 |
板橋区 | 439室 | 2.8% |
10位 |
墨田区 | 424室 | 2.7% |
合計 |
15,769室 |
出典:メトロエンジンリサーチ
東京23区シェア(部屋数)
出典:メトロエンジンリサーチ
東京23区の新規開業予定施設を一部紹介
メトロエンジンリサーチによると、2023年〜2040年に開業予定の新規施設・部屋数トップ5は以下の通り。
順位 |
23区 | 開業予定時期 | 施設名 | 部屋数(推定) |
1位 |
中央区 |
2028年12月31日 | (仮称)中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業 | 551室 |
2位 |
港区 | 2023年5月19日 | HOTEL GROOVE SHINJUKU | 538室 |
3位 |
中央区 | 2026年3月31日 | (仮称)広町地区開発計画 | 515室 |
4位 |
港区 |
2023年7月15日 | (仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー | 506室 |
5位 |
千代田区 |
2024年8月31日 | 東京ワールドゲート赤坂 赤坂トラストタワー | 490室 |
出典:メトロエンジンリサーチ
部屋数トップ5は、新規開業が集中している中央区・港区から4施設、加えて千代田区から1施設となった。
1位の「(仮称)中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業」は、野村不動産、東急不動産、住友商事、ヒューリック、JR東日本が手掛ける、地上60階、地下3階、高さ約250m(最高約262m)、延べ面積約298,000㎡の事務所、住宅、店舗、ホテル、ホールを備える大規模複合施設。2025年度の着工、2028年度の竣工を目指している。
2位の「HOTEL GROOVE SHINJUKU」は、コンセプトを東京・新宿歌舞伎町のまちを遊び倒すための拠点とし、選りすぐりのアートや、音楽で彩られたホテル内、使い勝手を考えたまるで自分の部屋のような客室が特徴。また、まちの人と旅人とをつなぐ社交場としてレストラン、バーの他、ウェディング対応可能のオープンテラス、パーティールームも備えている。
3位の「(仮称)広町地区開発計画」は、JR東日本が再開発を手掛けるオフィス、ホテル、商業施設を備えた複合施設。ホテルブランドは未定だが、「東京ステーションホテル」「ホテルメトロポリタン」「JR東日本ホテルメッツ」を運営する日本ホテル株式会社が事業者となる予定となっている。最上階には、ルーフトップバーが設けられる計画もあり、まちに開かれたホテルを展開するとしている。
4位の「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」は、森ビルが参加組合員として参画する虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発組合が東京都港区虎ノ門2丁目に新設する、地上49階、地下4階、高さ264.00m(最高265.75m)、延べ面積約236,370㎡の超高層ビル。1階、11階~14階には、「街のホテル」をコンセプトとする「ホテル虎ノ門ヒルズ」のオープンが計画されている。
5位の「東京ワールドゲート赤坂 赤坂トラストタワー」は、森トラストとNTT都市開発が東京都港区赤坂2丁目に新設する地上43階、地下3階、高さ209.14m、延べ面積209,283㎡の超高層ビル。「Next Destination ~もう一度、街で会おう~」コンセプトに、高層部にホテルやサービスアパートメント、低層部に店舗やクリニックおよび歴史・文化発信施設を設ける計画となっている。
依然として東京23区は開業ラッシュ
2022年12月時点の新規開業施設の部屋数13,761室に対し、2023年3月時点の新規開業施設の部屋数は15,769室。約15%の増加となっている。
コロナ禍の中でも、東京の都市開発計画は着々と進められており、当初のスケジュールから遅れる例はほとんど見られず、大型施設が2020年以降も次々と竣工してきた。この流れは2023年以降も同様となっており、旅行需要の回復を後押ししていくことが期待される。
また、依然として日本、そして東京を訪れたいという潜在的な外国人が多いことに加え、急激な円安も大きな追い風となり、インバウンドが急速に回復。コロナ前の水準まで戻るには、あと少しだけ時間がかかるかもしれませんが、2023年以降、インバウンドがさらに拡大していくことが期待できる。
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