高野山の宿坊が富裕層向け宿泊施設ベスト5に 伝統×現代に評価

伊藤秀樹
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 高野山にある宿坊が、世界の富裕層に訪れてもらいたい国内のホテルや旅館「ベスト5」に選ばれた。厳かな雰囲気のなかで真言宗の瞑想(めいそう)「阿字観(あじかん)」などが体験できるおもてなしや伝統文化を織り交ぜた現代的な客室が評価された。

 宿坊は和歌山県高野町の蓮華定院(れんげじょういん)。選定したのは、世界の富裕層の誘客をめざしている一般社団法人「ラグジュアリージャパン観光推進機構」(東京)。昨年、海外へ発信する取り組みとして初めてコンテストを主催。建築家の隈研吾さんが審査委員長をつとめる審査委員会がベスト5に選んだ。

 蓮華定院は、1600(慶長5)年の関ケ原の戦いで敗れた真田昌幸と信繁(幸村)の親子が流罪となった際、一時滞在した寺院とされている。高野山に伝わる阿字観は、毎夕に本堂で行うことができ、国内だけでなく海外からの観光客にも好評という。

 客室は、新型コロナウイルスの感染が広がる前から一部の部屋の個室化をすすめるなど改装に取り組んでいた。一般的な部屋は畳が敷かれ、ふすまで仕切られたつくりになっている。だが「貴賓室」は、畳と板間の両方を用意。板間の部屋にはベッドを置いた。室内に風呂・トイレも完備。内装には、寺に伝わるふすま絵を壁に貼り合わせる趣向をこらした。白砂が敷かれ、手入れされた美しい庭を部屋から望むことができる。

 蓮華定院は「お寺として今まで通りのよいものを提供していきたい」と話す。今年、弘法大師空海の生誕から1250年を迎える。大師ゆかりの高野山は、誕生日の6月15日を中心に、5月14日から7月9日まで記念大法会が執行される。県は、蓮華定院がベスト5に選ばれたことをきっかけにさらに高野山の魅力を発信していきたいという。県観光振興課の担当者は「高野山へのインバウンド需要がもどりつつある中で、蓮華定院が選ばれたことは世界へのいい情報発信になった」と話す。

 県は2月から、大師ゆかりの3霊跡を巡るスタンプラリーを始めている。生誕地の香川県善通寺市善通寺、823年に嵯峨天皇から託された京都市の教王護国寺(東寺)、大師が開いた金剛峯寺にあるスタンプを集めた人へ、各寺の住職の揮毫(きごう)や寺印入りの特製てぬぐいをプレゼントする。(伊藤秀樹)

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ラグジュアリージャパン・アワード2022

【大賞】坐忘林(北海道)

【ベスト5】大谷山荘別邸 音信(山口県)、亀の井別荘(大分県)、HakuVillas(北海道)、蓮華定院(和歌山県)

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