旅行観光産業の人手不足が国内外で深刻になっているが、英国では従業員の発信を採用につなげようとする動きが注目を集めている。

直近では英Travel WeeklyがTUIによる採用キャンペーンを紹介。旅行業だけでなく航空会社からホテルまで幅広く展開する同グループが約950人の採用を目指しているもので、キャンペーン動画では現場で働くスタッフが自ら撮影した映像を組み合わせて魅力的な職場であることをアピールしているほか、特設サイトでも同様に「Life at TUI」を紹介。また個人のLinkedinやInstagramなどでの発信を呼びかけるアンバサダープログラムも開始している。

こうしたユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ(UGC)ならぬエンプロイー・ジェネレイテッド・コンテンツは他社でも奏功しており、大手旅行会社のHays Travelも採用プロセスが若手から「ゴミ」のようだと酷評されていたため従業員に求人活動を一任したところ、1つの求人に対する応募件数が4件から14.5件へと大幅増

この例では一般的な求人募集で核となるメッセージを無視し、TikTokで若いスタッフが仕事を楽しんでいる様子などを発信したことが成果を生んだと紹介されており、同社経営者による「人は金のために転職するが、愛のためになら留まる」との言葉も引用されている。

考えてみれば、従業員が多少なりとも周囲に勧めたいと思えない職場に人が集まらないのは当然。これからの求人戦略では、「社員の1日」や「先輩の声」のような会社側の意図に沿って編集されたコンテンツではなく、現場からの自然な発信がカギとなるのかもしれない。