エレファントライドやイルカショーなどのアクティビティは国内外の旅行で人気の選択肢となっているが、海外では動物愛護の観点からしばしば問題視されており、今後中長期的には見直されていく可能性が高い。

例えば、2013年に公開された映画でシャチの扱いが非難されたSeaWorldは、当初会社もCEOも経営への影響を認識しながら問題なしと広報活動含め主張し続け、2018年に証券取引委員会から会社と当時の経営陣に合計約500万ドルの制裁金が課され、現在は動物愛護の体制を見直してウェブサイト上でもアピールしている。

しかし、それでもVirgin Holidaysは2019年にSeaWorldを含めてクジラやイルカをショーに使う施設への送客を停止。昨年にはExpediaも同様にイルカやクジラなど鯨類によるパフォーマンスや触れ合いを伴うアトラクションやアクティビティの取り扱い中止を決定した。

また、Tripadvisorは2013年に子会社Viatorを含めて野生動物に触れることを目的としたアクティビティの予約受付を終了。これ以外でも当時の時点でドイツ旅行業協会が「エレファントフレンドリー」であることを推奨しているほか、英国のクオニイやTuiなど100社以上がエレファントライドを扱う施設を顧客に提案しないことを決めていた。

こうした潮流は今もはっきりと続いており、TTGによると英国では現在庶民院で動物福祉のレベルの低いアクティビティを禁止する法案が議論されている状況。またSmithsonian Magazineによると、メキシコ政府も同様の理由からグアダルーペ島でホオジロザメに関わるアクティビティを禁止。地域の経済に影響も生じているという。

一方、企業側の自発的な取り組みについて取り上げられる機会も多く、ごく一部だが過去にはTRVLWIREでもアナンタラデュシットエア・カナダの事例を紹介しているほか、最近でも2月13日にTTG Asiaがアゴダの活動について記事を公開している。

野生動物をテーマとする観光の市場規模は2032年に向けて年平均5%のペースで拡大し2199億ドルに達するとも予想されているところ。日本ではアウトバウンド/インバウンドともに今のところほぼ無風の様子だが、世界の潮流を注視し、なるべく先手での行動を取っていくことが望ましい。