東京都「5類」移行後 無料検査やめ 重症化リスク高い人重点に

新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」に移行したあとの対策について話し合う東京都の対策本部会議が開かれ、無料検査はやめる一方、高齢者用の臨時の医療施設を継続するなど、重症化リスクの高い人に重点を置いて対応していくことを確認しました。

東京都は14日、新型コロナの対策本部会議を開き、ことし5月8日に感染症法上の位置づけが「5類」に移行したあとの対策について議論しました。

その結果、これまで無料で受けられたPCR検査や抗原検査を終了するほか、宿泊療養施設については感染者の隔離が必要なくなるとして、原則、廃止することを確認しました。

一方、高齢者用に設置した臨時の医療施設を継続して運営するほか、高齢者施設では引き続き職員に対する検査を行うなど、重症化のリスクの高い人に重点を置いて対応していくということです。

また、これまで国が全額負担していた、ワクチン接種や外来医療費、専用病床の確保にかかる費用については、必要な補正予算を計上し、国が今後示す医療提供体制の方針に合わせて対応していくことにしています。

ことし6月末までのこれらの対策にかかるおよそ1775億円を盛り込んだ補正予算案は、15日から始まる都議会で審議される予定です。

相談体制は

都は、5類への移行に伴って、症状があってかかりつけ医のいない人を対象にした「発熱相談センター」と、自宅療養の人を対象にした「うちさぽ」「フォローアップセンター」の相談窓口を統合して、新たに開設する「新型コロナウイルス感染症相談センター」で、発熱したときの相談などに応じることにしています。

検査・診療体制は

都は、新型コロナの検査費用や、外来での診療費の負担については、国が決定する全国一律の方針を踏まえて対応していくとしています。

また、施設職員に対するPCR検査や抗原検査の集中検査について、重症化リスクの高い人への感染を防ぐため、医療機関、高齢者施設、障害者施設、特別支援学校などでは継続する一方、幼稚園、保育所、小学校、中学校、高校では終了することにしています。

また、無料で受けられるPCR検査や抗原検査のほか、濃厚接触の疑いがある人などを対象にした検査キットの無料配布も終了するとしています。

一方、都で60万個確保している検査キットについては、今後の感染拡大に備え、緊急配布できる体制を継続していくことにしています。

医療提供体制は

都は、入院した際の医療費や病床を確保するための費用については、国が決定する全国一律の方針を踏まえて対応していくとしています。

また、より多くの医療機関で患者を診療できるよう、介護人材の確保や院内の感染防止対策の費用の支援については、内容を見直した上で継続していくことにしています。

一方、医療従事者に対する特殊勤務手当の支給や宿泊先の確保の支援は終了するとしています。

入院調整について、主に透析患者や妊婦、それに基礎疾患のある人など、重症化リスクの高い人を対象に継続していくとしています。

都内に8か所ある「高齢者等医療支援型施設」や立川市の「酸素・医療提供ステーション」についても運営を継続していくとしています。

また、およそ4000室の宿泊療養施設については、隔離目的のホテルは廃止して、妊婦などを対象にした施設のみ残すとしています。

自宅療養体制は

都は、5類への移行に伴って、軽症などでリスクの低い人が陽性だった場合、みずからオンラインで登録する「陽性者登録センター」の運用を終了することにしています。

また、保健所や医療機関などが感染者を対象に行っている健康観察についても終了し、発熱したときの相談などは新たに開設する「新型コロナウイルス感染症相談センター」で応じることにしています。

このほか、37万食を確保していた配食サービスや、43万台のパルスオキシメーターの貸与も、終了することにしています。

一方、救急や外来などの医療の負荷を軽くするため、休日や平日の夜間にも稼働している「臨時オンライン発熱等診療センター」と、高齢者などのハイリスクな患者を守るため、高齢者施設への往診体制は、いずれも継続するとしています。

治療薬やワクチンなどは

都は、現在全額公費負担となっている治療薬やワクチンの負担のあり方や、ワクチンの大規模接種会場の運用については、国が決定する全国一律の方針を踏まえて対応していくとしています。

また、感染状況の把握については、すべての感染者を報告する現在の「全数把握」から、事前に指定した医療機関に報告してもらう「定点把握」に移行します。

一方、新たな変異株が発生していないか調べるためのゲノム解析などは継続するとしています。