移住地で人気なのに静岡の転出者が再び増 東京集中への回帰が鮮明に

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床並浩一 大平要
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 2022年に静岡県外に転出した人数が転入者数を4658人上回ったことが、住民基本台帳に基づく「人口移動報告」で明らかになった。遠隔勤務の浸透に加え、地方移住が注目された新型コロナ禍で県の転出超過数は縮小傾向にあったが、「東京一極集中」への回帰傾向が鮮明になり、3年ぶりに増加に転じた。

 静岡県内から県外への転出者数は日本人と外国人を合わせて6万3733人、県外から県内への転入者数は5万9075人だった。

 転出超過を年齢別で見ると、高校卒業年代の18歳が1993人、大学や大学院を卒業する20~24歳が2307人と若者が目立った。

 都道府県別でみると、「転入超過」は東京圏や名古屋圏、大阪圏の11都府県。東京都の転入傾向が顕著で、コロナ禍で縮小傾向にあった超過幅が3年ぶりに拡大。東京23区に限れば、2年ぶりに転出超過が転入超過に転じた。

 「転出超過」は残る36道府県で、静岡県の超過数は8番目に多かった。

 県内35市町では12市町が転入超過。焼津市(326人)、袋井市(299人)、島田市(217人)の順に多かった。

 一方、転出超過は23市町。政令指定市の静岡、浜松両市はそろって転出超過で、静岡市は県内で最大の1379人超過になった。

 591人の転出超過となった浜松市の鈴木康友市長は1月31日の定例会見で、「『地方都市は活動しやすい、住みやすい』と価値観が変わらないと、東京一極集中はなくならない」と指摘。「究極的には道州制にすれば解消できると思うが、試行錯誤をしながら、少し時間をかけて取り組むほかない」と話した。

 県は新年度、県外に転出した若年層の県内就職先を確保しようと、企業誘致のターゲットとして、情報通信やデザインなど一部サービス業を対象にした補助金制度を新設する方針で、当初予算案に必要経費を盛り込む。県はこれまで、ものづくり産業に重点を置いてきたが、新制度の対象は若者や女性が就業を望むサービス業に絞り込む。

 担当者は「10~20代や女性のニーズに応えることが課題。雇用の受け皿を確保していきたい」と話す。(床並浩一、大平要)

転入続く滋賀・山梨、14年ぶり増加の長野との違いはどこに?

 「人口移動報告」の調査結果について、静岡銀行系地域シンクタンク「静岡経済研究所」の望月毅・主席研究員に聞いた。

 3年間のコロナ禍を経て人口…

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