航空大手2社ともに黒字、訪日客需要回復で 通期業績予想は明暗

空港で待機するANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)の機体=羽田空港(桐山弘太撮影)
空港で待機するANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)の機体=羽田空港(桐山弘太撮影)

ANAホールディングス(HD)と日本航空の大手航空2社が2日、令和4年4~12月期連結決算を発表した。新型コロナウイルス感染の水際対策緩和に伴う訪日外国人旅行者(インバウンド)需要の急回復などで、最終損益はコロナ禍で初めて両社そろっての黒字となった。ただ、通期の業績予想では旅客需要の見通しで明暗が分かれ、最終利益をANAHDが上方修正した一方、日航は下方修正した。

4年4~12月期は、ANAHDが売上高1兆2586億円(前期は7380億円)。中間決算で黒字化した最終損益も順調に伸びて626億円の黒字だった。

中堀公博上席執行役員は旅客需要の回復が順調との見方を示し、「特に国際線で北米路線とアジア路線が当初の予想を上回った」と説明。5年3月期の最終利益予想を従来の400億円から600億円に引き上げた。ただ、5年1~3月期は低需要期である上、中国からの観光客需要の見通しも不透明なことなどから若干の赤字予測を織り込んだ。

日航もここまで国際線、国内線ともに回復が順調とし、売上高が前期(4984億円)から倍増の1兆55億円。最終損益は163億円の黒字で、3年ぶりの黒字転換を果たした。

ただ、通期の最終利益予想は従来見通しに対し200億円減となる250億円とした。菊山英樹専務執行役員は主な要因について、国内線の売上高が従来の通期予測を260億円下回る見込みであることを挙げた。特に今年1~2月の需要が低迷しているといい、「全国旅行支援の(年明け継続実施の)発表が遅かったため、需要を十分に獲得できなかった」と分析。見通しの立て方について「甘かったといわれれば、その通りかもしれない」と語った。

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