政府予算案

インバウンド回復へ海外プロモーション強化に120億円

閣議に臨む(左から)林芳正外務相、岸田文雄首相、高市早苗経済安保相=23日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)
閣議に臨む(左から)林芳正外務相、岸田文雄首相、高市早苗経済安保相=23日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)

令和5年度予算案の観光関連予算では、「観光立国復活に向けた基盤の強化」と「インバウンド(訪日外国人客)回復に向けた戦略的取り組み」を2本柱に据え、訪日客誘致のアクセルをより強く踏み込む。うち需要回復が見込まれる訪日客などから徴収する国際観光旅客税が、前年度比2・4倍の197億円に上り、関連予算全体の6割以上を占めた。

「観光立国復活に向けた基盤の強化」の中で最も多くの予算を注ぐのが、文化資源を活用した訪日客のための環境整備で、前年度比1・81倍の40億円を計上。城跡における忍者体験や茶室での茶会体験、伝統的な家屋を宿泊施設として転用するなど、文化財を使った体験型のプログラムの開発に力を入れるほか、歴史展示では先端的なデジタル映像技術を活用するなど、コンテンツに磨きをかける。

新規では、食の地産地消で宿泊業の価値向上を図る事業に5600万円。料理のレベル向上に加え、山間部で刺し身が提供されるなど地元食材を生かせていない事例の改善にも努める。

7年に訪日客数を新型コロナウイルス禍前の水準に戻すことを目指す政府。その実現に必須となる「インバウンド回復に向けた戦略的取り組み」では、コロナ禍で抑えていた海外プロモーションの強化費用に120億円を割いた。

また、国は1人当たりの消費単価が高い高付加価値旅行者に注目しており、地方の観光地に誘致するための事業として1億円を盛り込んだ。今回はモデル観光地10カ所程度を選定し、宿泊施設や観光資源のブラッシュアップ、ガイドの育成などを集中的に支援する。

訪日客などから出国時に千円を徴収する国際観光旅客税は、国際観光関連の既存施策を補完する財源として活用される。再び訪日客が激減するような事態が生じれば税収は減るが、観光庁の担当者は「その場合は補正予算でカバーする」とした。(福田涼太郎)

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