空き店舗活用し商店街にアートの道を 延岡市でモデル事業始まる

石川雅彦
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 【宮崎】延岡市が市内随一の繁華街だった「山下新天街」の復活に乗り出している。延岡駅前に約200メートルに渡って伸びる山下新天街は、いまでは日中でも人通りが少ない「シャッター商店街」。空き店舗でビジネスを始める県内外の事業家を呼び込み、起死回生を狙う。

 市は「空き家利活用モデル事業」として参加を募り、公募に応じた中から第1号として9月、佐賀県の株式会社「すみなす」の事業案を選んだ。「山下新天街にアートで道をつくる」をコンセプトに、障害者らがアーティストとして参加する「ギャラリー兼就労支援サービス施設」を設立する。

 「すみなす」の西村史彦代表は「障害者&商店街&アートで、いままでにないユニークな街を作りたい」と話す。オープンは2024年春を予定している。

 モデルに選ばれた業者には、①資金調達クラウドファンディングなど)のサポート②上限100万円の起業・創業支援③空き家店舗活用の補助制度(上限140万円)の利用――などを市が支援する。

 市は、ほかに最終選考に進んだ4社も継続的にバックアップをしていく予定だ。4社の事業案は、①終活をサポートをする相談所②商店街を丸ごとホテルにするプロジェクト③ローカルカルチャーを創造する学生や若者のカフェ&バー④既存の建物や街並みを生かした「延岡・門前町」づくり――となっている。

 延岡市建築指導課によると、現在、山下新天街には48の店舗があるが、年々減り続けており、2021年度末での空き店舗率は約17%。市内全体の空き店舗率も2008年は9・5%だったが、13年には12・0%に、18年には14・2%に上昇している。

 市は山下新天街の復活によって、現在は延岡駅周辺に集中している人の流れを延岡城跡などがある南側に持っていく狙いだ。9月の延岡城・内藤記念博物館の開館に続き、12月には野口遵(したがう)記念館がオープンする。

 「空き家利活用モデル事業」の審査員でもある延岡市出身の五輪メダリストの松田丈志さんは「延岡のはずれに住んでいた僕なんかは、山下新天街に連れて行ってもらえる前の日なんか、うれしくて眠れなかったほどだった。延岡の再生は、山下新天街から」。読谷山洋司市長も「山下新天街を南北の通路として、観光客のみなさんに延岡市を歩き回ってもらいたい」と話している。(石川雅彦)

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